IT業界への就職やキャリアチェンジを考えている方の中には、SESという言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ITについて調べ始めた方だと、SESとだけ聞いてもどのような仕事なのかイメージできないでしょう。
- 「SESってどんな仕事なの?」
- 「SESとほかのIT職種の違いが知りたい」
SESは契約形態の1つで、うまく案件を探せると柔軟な働き方ができます。
本記事ではSESについて疑問や不安を抱えている方のために、わかりやすく解説します。
SESの基本的な仕組みからメリット・デメリットまで、SESとして働く際に知っておくべきポイントも網羅的に理解できるため、ぜひ最後までご一読ください。
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SESとは?概要をわかりやすく解説
SESの概要について、以下の2つを紹介します。
仕組みや仕事内容がわかれば、SESの理解につながります。
SESの概要を理解して、キャリアの選択肢を増やしていきましょう。
SESは委託契約の1つ
SESとは「System Engineering Service」の略で、SES企業がIT技術者をクライアントへ派遣し、システム開発や運用、保守などの業務を請け負う業態の1種です。
SESは一般的な派遣契約とは違い、準委任契約にもとづいて契約されるのが主流です。
準委任契約とは、民法643条で定められた契約形態の1つで「受任者(SES企業)が善良な管理者の注意を持ち、委任者(クライアント)の業務遂行を約束する契約」になります。
- エンジニアの技術力や労働力に報酬が支払われる
- 成果物に対して責任が問われることはない
準委任契約の場合は、働いた時間に対して報酬が支払われ、成果物に対して責任が問われることはありません。
SESとクライアント間で業務委託契約を結ぶメリットは以下のとおりです。
クライアント | 必要な人材を必要な期間だけ確保できる |
SES企業 | 自社エンジニアの稼働率を高められる |
派遣されるエンジニアは、案件やスキル次第でプロジェクト内の幅広い作業に携わります。
契約上はクライアントではなく、SES企業の管理下で業務を行う点も大きな特徴です。
SESの仕事内容
SESの具体的な仕事内容は、クライアントのニーズによってさまざまです。
仕事内容の例としては、以下のようなものがあります。
システムエンジニア | クライアントとの打ち合わせを通じて、システムに必要な機能や性能、予算、スケジュールなどの要件を収集・分析する 要件をもとにシステム設計し、ハードウェアとソフトウェアの構成を決定する プロジェクトの計画を立て、タスクを割り当て、進捗を管理する クライアントに対して、システムの説明や技術的サポートを提供する |
プログラマー | SEが作成した設計書をもとに、プログラミング言語を使用してコードを書く コードのリファクタリングや最適化を行い、メンテナンス性や効率を改善する 他のプログラマーとコードレビューを行い、品質を維持する |
テスター | 仕様書や設計書をもとに、テスト計画を作成する 手動でソフトウェアを操作し、機能や性能をテストする 自動化されたテストスクリプトを作成し、効率的にテストを実行する |
インフラエンジニア | サーバー、ネットワークスイッチ、ルーターなどのハードウェアを設置・設定する AWSなどのクラウドを使用した仮想環境の構築・保守を行う システムのパフォーマンスを監視し、ボトルネックを特定・解消する バックアップ、セキュリティパッチの適用などを行い、システムの可用性とセキュリティを維持する |
スキルを持っていない方の場合は、ヘルプデスクや雑用などの作業が任されるケースもあります。
経験やスキルがある方は、本格的なシステム開発や保守に入っていけるでしょう。
SESとほかの職種との違いを解説
SESとほかの職種との違いを、3パターンに分けて解説します。
選択する内容によって働き方が大きく変わるため、SESとの違いを理解しておきましょう。
SIerとの違い
SIerとは「システムインテグレーター(Systems Integrator)」の略で、情報システムの企画や設計や開発、運用までを一括で請け負う事業者のことを指します。
SESとSIerの違いは以下のような点があげられます。
SES | SIer | |
業務形態 | 準委託契約 | 請負契約 |
役割 | 特定の工程に特化した技術者の派遣に重点を置く | システム開発を自社で請け負う |
勤務場所 | 客先 | 自社 |
指揮命令権 | SES企業 | 自社 |
報酬の発生 | 労働時間に対して報酬が発生する | システム開発に関わる成果物に対して報酬が発生する |
SIerはSESのような客先常駐ではなく、自社で請け負ったシステム開発のプロジェクトに参画する形式です。
また、システムに関わる成果物に対して報酬が発生します。
SEとの違い
SESは業務の契約形態を指しており、SEは職種の1つという違いがあります。
SEとは「システムエンジニア(Systems Engineer)」の略で、情報システムの設計や開発、運用を行う技術者のことです。
クライアントからの要求を分析し、システムの設計・開発を行います。
つまり、SEは「システムを開発する人」であり、SESは「人をどのように提供するか」を示すサービスです。
SEは社内のシステム部門に所属することが多いため、社内の業務に関する知識が求められます。
一方で、SES企業に所属する場合は、プロジェクトに必要なスキルが重視される傾向にあります。
客先常駐との違い
客先常駐とは、エンジニアが客先の事業所に常駐して業務に従事することを指します。
SESのエンジニアは一般的に客先常駐ですが、すべての客先常駐がSESというわけではありません。
客先常駐には、以下のような契約形態があります。
- 技術者の直接雇用
- 人材派遣
- 業務委託
一方で、SESはあくまでも業務委託契約の一形態であり、労働者派遣とは異なります。
そのため、SESの技術者は派遣先企業との間に指揮命令関係がなく、雇用関係は派遣元のSES企業との間にのみ存在するのです。
SESで働くメリットは3つ
SESで働くメリットは以下の3つです。
柔軟な働き方をしたいと考えている方は、SESの働き方が大きなメリットにつながるでしょう。
1.幅広いプロジェクトに参画できる
SESで働くメリットは、多種多様なプロジェクトに携われる点です。
クライアントのプロジェクトは多岐にわたるため、自分の経験やスキルを活かしてチャレンジできる機会が豊富にあります。
Web系や組み込み系など、異なる分野の開発プロジェクトを経験できるのもSESならではの魅力といえるでしょう。
特定の業務に特化するのではなく、幅広い領域で活躍したい方にはうってつけの働き方です。
ただし、プロジェクトの選択肢が多い一方で、新しいスキルを身に付けるための自己学習が求められる点には注意が必要です。
2.人脈を広げられる
SESでは一定周期で常駐先が変わるため、人脈を広げられることもメリットです。
SESの仕事は常に新しい環境での業務が基本となるため、多くの方と接点を持てます。
クライアントの社員はもちろん、プロジェクトに参加する他社のエンジニアとも交流が生まれます。
常駐先の企業に自分の仕事が認められれば、別の仕事に誘われたり、正社員として雇用の話を受けたりする可能性が生まれるでしょう。
ただし、長期的な関係を築きにくいため、いかに短期間で信頼関係を築けるかが重要になります。
3.残業が少ない
SESで働く場合、ほかの働き方よりも残業が少なくなる傾向もあります。
残業が少なくなる理由は、以下のとおりです。
- 契約によって労働時間が決められている
- クライアント側で残業の判断はできない
- ルーティンワークなど残業が出にくい業務を担当することが多い
SESはクライアントと交わされる契約上「月に140時間エンジニアを提供します」など、労働時間が決まっています。
労働時間が対価になるため、クライアント側はコストがかからないように帰宅を促すのです。
ワークライフバランスを重視する人にとっては、残業が少ない点は大きなメリットになるでしょう。
SESで働くことのデメリットは3つ
SESで働くデメリットは、以下の3つです。
SESは条件が合わない場合、理想のキャリアを積み上げられない可能性があります。
デメリットも理解した上で、SESという働き方を選択しましょう。
1.一定期間ごとに職場環境が変わる
SESのデメリットは、一定期間ごとに職場環境が変化することです。
職場環境が変化すると、以下の影響が考えられます。
- 業務内容
- 勤務地
- 勤務時間
- 人間関係
SESでは数ヶ月から数年単位で常駐先が変わるため、長期的に同じ環境では働けません。
常駐先が変わるたびに人間関係を一から築き直す必要があるため、新しい環境に適応するのが苦手な方には大きな負担となります。
環境の変化を前向きに捉えられない場合は、SESで働くのは大きなデメリットになるでしょう。
2.マネジメントに関わる機会がない
マネジメント経験を積む機会が限られる点も、SESのデメリットになります。
SESの業務は主にクライアントの指示で行われるため、プロジェクトのマネジメントに関わることはほとんどありません。
事前にマネジメントの経験がなければ、リーダーやマネージャーといった役割を担うのは非常に難しくなります。
キャリアアップを目指す方にとっては、マネジメントに関われないのは大きなデメリットといえるでしょう。
将来的なキャリアプランのためにマネジメントを経験したいという方は、SES以外の選択肢も視野に入れる必要があります。
3.技術的にスキルアップできない場合がある
SESでは、参画するプロジェクトによってはスキルアップできない場合があります。
スキルアップできない理由は、以下のとおりです。
- スキルがないことを理由に単純作業に当てられる可能性がある
- 古い開発環境やレガシーコードを扱っている
- ヘルプデスクなど開発と関係ない作業に入れられる
プロジェクトに入れたとしても、開発作業をさせてもらえないケースがあるため要注意です。
まともに開発作業に入れない場合は、SESとしての経験年数だけが増え、スキルが伴わない状態になってしまうでしょう。
SESに将来性はある?注目される理由を紹介
SESは以下の理由から、今後も企業からの需要が高まると予想されています。
- IT業界の市場規模の拡大
- IT業界の人材不足
矢野経済研究所が実施した「国内企業のIT投資に関する調査(2023年)」によると、国内民間企業のIT市場規模は年々増加すると予想されています。
さらに、経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」では、IT人材が2030年には最大79万人のIT人材が不足するとされています。
以上の結果から、エンジニアを求める企業は今後も増えると考えられます。
同時にエンジニアを派遣するSESにも一定の需要が見込まれ、将来的にも活躍の幅は広がっていくでしょう。
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SESのキャリア選択で本質を見極めるポイント
SESのキャリアを選択する際は、自身のキャリアプランを明確にすることが重要です。
以下のように、表面的なところだけを見てSESに入るのは避けた方がよいでしょう。
- 自社開発かSESで選んでいる
- 向き・不向きを気にしている
SESの選択は、あくまでも個人のキャリア形成の手段である点を忘れてはいけません。
キャリアとは「最終到達点に向かうために、必要なことを積み重ねる」ことであるため、SESで何を得たいのかを見定める必要があります。
目的を達成する上で、SESが合っていると判断できるかが本質を見極めるポイントです。
SESについて理解して働く選択肢を増やそう
SESは柔軟性のある働き方ができるため、ライフワークバランスが充実しやすい事業形態だといえます。
多種多様なプロジェクトに参画できる点も、エンジニアにとって大きな魅力であり、市場価値の高いスキルを身に付けるチャンスになります。
目的やキャリアプランに合っていると感じた方は、SESという働き方を選択していきましょう。
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