AWSを解約したのに請求が来たという経験はありませんか?
AWSには無料利用枠があり、利用上限や利用条件を守れば、料金が発生しません。
しかし、何も知らずに解約してしまうと、思わぬ請求が来る可能性があります。
本記事では、AWS解約時の注意点や対処法を詳しく解説していきます。
AWSを解約したのに請求が続いている方、解約を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
AWS利用の料金体系とは
AWSを解約したのに、請求がきている方はしっかりAWS各サービスの料金体系について把握しておきましょう。
従量課金制
AWSの料金体系は、使ったサービスの分だけ料金を支払う「従量課金制」です。
私たちが普段払っている水道料金や電気代のように、実際に使った量に基づいて料金が決まる制度
【AWSの料金の基本要素】
サーバー | 実稼働時間に応じて課金され、選択するサーバーのスペック(OS、コア数、メモリ容量)によって時間単価が異なる |
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ストレージ | 必要なストレージ容量に応じて、1GB単位で課金される |
データ転送 | AWS間の内部データ転送は無料ですが、AWS外へのデータ転送は有料 |
たとえば、AWSのサービス「Amazon EC2」という仮想サーバーを使った場合、利用時間に応じて、1秒単位で料金が計算されます。
従量課金制は、必要ない時間帯のサービスを停止しておけば、料金は発生しません。
サービス内容によって料金が変わる
AWSの料金体系は、基本的には「使った分だけ支払う」という従量課金制ですが、サービスごとに料金体系が異なるため、注意が必要です。
解約したのに請求がきている人は、それぞれの契約内容を把握しておらず、サービスを全て解約できていない可能性があります。
AWSを解約したのに請求がきたときの対処法
AWSを解約したにもかかわらず請求が来た場合は、下記の原因が考えられます。
- 無料利用枠を超えた
- 未払い請求がある
- 解約手続きが完了していない
請求が来た場合は、下記の方法を試してみてください。
※AWS解除申請後90日以内であれば、サインイン可能です。90 日経過すると、アカウントに残っているコンテンツはすべて削除されます。
1.料金が発生しているリソースを特定する
料金が発生しているリソースは、AWSの管理コンソール「Billing and Cost Management」から確認できます。
- AWSの「Billing and Cost Management」コンソールにアクセス
- ナビゲーションペイン(画面左側)で「請求」を選択
- 「詳細」セクションを確認
詳細セクションには、アカウントに関連したすべてのAWSサービスの料金が表示されます。
どのサービスがアクティブなリソースとして残っているかを確認してください。
また、AWS Organizationsを使用している場合は、次の以下の手順で確認してみましょう。
- 「請求書」ページの「一括請求の料金明細」タブをチェック
- 各サービスの詳細を展開
2.料金が発生しているリソースを削除する
料金が発生しているリソースを特定したら、必要に応じて削除することで、追加の請求を防げます。
リソースを削除する場合は、必要なデータのバックアップを忘れずに取っておきましょう。
3.使用状況をモニタリングする
AWSを解約したと思っていても、アクティブなリソースが残っている可能性があるため、以下の方法で使用状況をモニタリングしておきましょう。
AWS Budgetsの設定 | AWS Budgetsを使用して無料利用枠の使用状況アラートを設定できます。 無料利用枠の使用量が月間制限の85%に達した時点で通知を受けとれます。 |
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使用量の追跡 | AWS請求コンソールのダッシュボードにアクセスすると、無料利用枠の使用量を確認できます。 ダッシュボードでは、アカウントで最も使用されている上位5つの無料利用枠サービスの使用状況が表示されます。 |
詳細情報の確認 | 「使用状況別の上位のAWS無料利用枠サービス」の表で「すべて表示」を選択すると、無料利用枠を使用している各サービスの予測使用量に関する詳細情報を確認できます。 |
AWSの無料利用枠は3つ!制限を越えると料金が発生するサービスもある
AWSは、下記3つの無料利用枠を提供していますが、無料利用枠でも制限を超えると料金が発生するサービスもあるため、注意してください。
12ヵ月間無料
AWSを初めて利用する場合、アカウント作成後の最初の12ヵ月間は36のサービスを無料で体験できます。
- Amazon EC2(仮想サーバサービス)
- Amazon S3(オブジェクトストレージサービス)
- Amazon RDS(データベースサービス)
ただし、無料利用枠には一定の制限があり、制限時間を超えると追加の料金が発生します。
無料トライアル
無料トライアルは、初めてサービスを利用する際に提供される短期間の無料体験期間です。
期間中は41のサービスを無料で試すことができ、トライアル期間が終了すると、通常の料金が適用されます。
- Amazon SageMaker(機械学習プラットフォーム):2ヵ月間無料トライアル
- Amazon RedShift(データウェアハウスサービス):2ヵ月間無料トライアル
- Amazon QuickSight(BIサービス):30日間無料トライアル
常に無料
AWSには、12ヶ月間の無料利用枠期間が終了した後も、期限切れにならずに継続して利用できる41の無料利用サービスがあります。
- AWS Lambda(サーバレスサービス)
- Amazon SNS(メッセージングサービス)
- Amazon DynamoDB(NoSQLデータベース)
AWSの無料利用枠について詳しく知りたい方は、AWS公式の動画をご覧ください。
AWSの解約方法
AWSを解約する際は、以下のステップで行ってください。
ステップ1.AWSリソースをバックアップする
AWSを解約する前に、最初に行うことは、保存しておきたいデータやリソースのバックアップです。
AWSの公式ドキュメントに、各サービスのバックアップ手順が記載されていますので、必ず確認しましょう。
ステップ2.AWSリソースを削除する
リソースが稼働し続けると、解約後も料金が発生するため、AWSリソースを削除しましょう。
アカウントの解約だけではすべてのアクティブなリソースが自動的に削除されるわけではありません。
料金が発生しているリソースを特定する方法は以下の章をご覧ください。
ステップ3.AWSの請求情報を確認する
AWSを解約する際には、請求情報の確認が大切です。
とくに、継続的な支払い義務があるサブスクリプションに注意が必要です。
たとえば、Amazon EC2のリザーブドインスタンス(RI)やSavings Plansなどは、契約期間に応じた支払い義務があり、アカウントを解約した後も期間満了までは料金が発生し続けます。
ステップ4.未払いの請求書を支払う
AWSアカウントを解約する前に、未払いの請求がある場合は必ず先に支払いましょう。
未払い請求を残したままアカウントを解約すると、解約後に未払い分の料金が請求されます。
ステップ5.アカウントを解約する
AWSアカウントを解約する際の最終ステップは、アカウント自体の解約です。
アカウントの解約はルート権限を持つユーザーでなければ実行できません。
必ず、ルートユーザーでAWSにサインインしてください。
また、アカウントを解約するには、有効な支払い方法(クレジットカード)が登録されている必要があるので、確認しておきましょう。
AWSを解約するときの注意点
AWSを解約するときは、下記の2点に注意してください。
AWS解約時は、慎重に判断して対応することが大切です。
解約後も料金が請求される可能性がある
AWSアカウントの解約後も料金が発生する可能性があるため注意が必要です。
アカウント解約後に、予期せぬ料金が発生するケースは下記のとおりです。
アクティブな状態を維持したリソース | アカウントを解約しても、アクティブなリソースは自動的に終了されません。 解約前にすべてのリソースを終了し、追加料金が発生しないようにしてください。 |
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無料利用枠の超過使用 | 無料利用枠内での使用が月間制限を超えた場合、超過分に対して料金が発生します。 複数のサービスを利用している場合は注意が必要です。 |
無料利用枠がないサービスの使用 | 一部のAWSサービス(例:Amazon Aurora)は、無料利用枠の対象外です。 |
無料利用枠の有効期限 | AWSアカウントを開設してから12ヵ月間のみ無料利用枠が適用されます。 期限が切れた後は、通常の料金が適用されます。 |
無料利用枠については、下記の見出しで詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
→AWSの無料利用枠は3つ!制限を越えると料金が発生するサービスもある
閉鎖したアカウントは90日経ったら復旧できない
アカウントを閉鎖してから90日経過すると、アカウントを再開することはできません。
ただし、 90日以内であれば、下記の手順でアカウントの再開が可能です。
また、同じEメールアドレスで新しいAWSアカウントを開設することはできません。
まとめ:解約したのに請求がきても冷静に対処しよう
AWSを解約したにもかかわらず請求が来た場合は、下記の原因が考えられます。
- 無料利用枠を超えた
- 未払い請求がある
- 解約手続きが完了していない
原因を特定したら、次の方法を試してみてください。
- アカウントが無料利用枠の対象かどうかを確認する
- 料金が発生しているリソースを特定する
- 料金が発生しているリソースを削除する
- 使用状況をモニタリングする
AWSには3つの無料利用枠がありますが、利用上限や利用条件が定められています。
また、無料利用枠の対象外のサービスを利用した場合は、料金が発生する場合があります。
定期的に請求情報を確認する習慣を身につけましょう。