AWSは世界的に利用されている人気のクラウドサービスです。
しかし、AWSの存在は知っているけれど「なぜこんなに人気なの?」「他のサービスと何が違うの?」「そもそも何ができるの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事ではAWSを理解してビジネスに活用できるようになるために、AWSの特徴や他のサービスとの違い、利用する際のポイントなどを解説します。
図解も交えて、クラウドサービスの知識がない初心者にもわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
AWSとはAmazon社が提供するクラウドサービス
AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供するクラウドサービスです。
インターネットを介してサーバーやデータベース、アプリケーションなどの幅広いサービスを利用でき、世界中の多くの企業や個人に選ばれています。
- Netflix
- 米航空宇宙局(NASA)
- Airbnb
- イオン
- スターバックスコーヒージャパン
- ANA
AWSを利用することで、物理的なハードウェアの設置や管理といった課題から解放され、より価値を生み出す仕事にお金や時間をかけられるようになります。
デジタル化が進み高い競争力が求められる現代において、AWSは非常に重要な存在です。
そもそもクラウドサービスとは
クラウドサービスとは、インターネットを通じてユーザーにデータやソフトウェアを提供するサービスです。
総務省によると、クラウドサービスは下記のように定義されています。
”クラウドサービスは、従来は利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で、サービスとして利用者に提供するものです。”
出典:クラウドサービスとは?|総務省
従来はユーザーが自ら管理していたリソース(サーバーやデータ記憶装置、ネットワーク機器など)をクラウド上で利用することで、業務の効率化や利便性の向上、コスト削減などが可能になります。
クラウドサービスの仕組みを図解で解説
またデータの保存もデータセンター上で行います。
クラウドサービスのユーザーは、クラウド上で処理されていることを意識することなく、手元にあるパソコンでサービスを利用できます。
インターネット環境があれば、どこからでもアクセスが可能です。
従来のオンプレミスとの違い
オンプレミスとは、自社にサーバーなどのIT機器を設置し、自己管理する方式です。
オンプレミスとクラウドサービスの主な違いは次の表のとおりです。
項目 | オンプレミス | クラウドサービス |
---|---|---|
導入スピード | 機器の調達、設置、設定に時間がかかる | 即座にサービスを利用開始できる |
初期費用 | 高い(サーバー機器などの購入や構築費用が必要) | 低い(物理機器の購入、サーバー構築などが不要) |
ランニングコスト | 安い(電力や保守費は必要だが利用料は不要) | 従量課金制で、使った分のコストが毎月かかる |
柔軟性 | リソースの追加に時間とコストがかかる(物理機器の追加購入、構築が必要) また使わなくなった場合にコストを回収できない | 必要に応じてリソースを柔軟に増減できる |
セキュリティ | 自社内の閉じたネットワークにあるため、セキュリティを高めやすい | インターネット上にあるため、セキュリティのリスクは高まる |
運用保守 | 全てのシステム管理と保守を自社で行う必要がある | クラウドサービス事業者がインフラの運用保守を担う |
オンプレミスとクラウドサービスそれぞれに一長一短があり、目的にあわせて使い分ける必要があります。
クラウドサービスの種類|IaaS・PaaS・SaaS
クラウドサービスにはIaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)の3つの種類があります。
3つの違いは、サーバー・ネットワーク・OS・ミドルウェア・アプリケーション・データのうち、クラウドサービス事業者がサービスの提供・維持に責任を持つ範囲です。
クラウドサービスは、利用者側の自由度やコスト、利用したいサービスなど、目的によって使い分けられます。
AWSが選ばれる10の理由
AWSの公式サイトに掲載されている「AWSのクラウドが選ばれる10の理由」は次の表のとおりです。
10個におよぶ豊富な魅力が、AWSが多くのユーザーから選ばれる理由となっています。
番号 | 理由 | 説明 |
---|---|---|
1 | 初期費用ゼロ・低価格 | 新しいインフラの構築に必要な初期投資が不要で、低価格でサービスを利用可能。 |
2 | 継続的な値下げ | サービスの提供規模拡大と技術革新により、コストが低下し続ける。 |
3 | サイジングからの解放 | 必要な時にリソースの増減が可能で、無駄なリソースの維持コストが発生しない。 |
4 | ビジネス機会を逃さない俊敏性 | 迅速なリソースの確保が可能で、ビジネスチャンスを逃すことがない。 |
5 | 最先端の技術をいつでも利用可能 | 常に最新のテクノロジーを利用でき、イノベーションを加速させる。 |
6 | いつでも即時にグローバル展開 | 世界中のリージョン(データセンターの所在地)でサービスを提供し、グローバルなビジネス展開を容易にする。 |
7 | 開発速度の向上と属人性の排除 | マイクロサービスアーキテクチャ(独立した小さな機能をつなぎあわせる手法)により開発スピードと管理のしやすさが向上する。 |
8 | マネージド型サービスによる運用負荷の軽減 | ITインフラの管理コストが削減され、生産性が向上する。 |
9 | 高いセキュリティの確保 | AWSが提供するセキュリティサービスにより、強固なセキュリティ体制を構築できる。 |
10 | 日本語での24時間サポート | 日本語による24時間体制のサポートが提供され、安心してサービスを利用できる。 |
参考:AWSのクラウドが選ばれる10の理由|AWS公式サイト
AWSの3つの特徴
AWSは一般的なクラウドサービスの枠に収まらない様々な特徴を持っています。
ここではAWSの特徴を3つの切り口で解説するので、AWSの魅力を理解するための参考にしてください。
AWSはシェアNo.1のクラウドサービス
AWSがNo.1のシェア(※1)を獲得できた大きな理由は「クラウドサービスの先駆者である」ということです。
AWSは「クラウドコンピューティング」の概念がまだ世に広まっていない2006年にリリースされました。
2006年はGoogleのCEOがクラウドコンピューティングに言及し、世間にクラウドコンピューティングへの関心が広まり始めたばかりのタイミングです。
AWSはクラウドサービスの代名詞とも言える存在になり、現在も業界をリードし続けています。
※1 Synergy Research Groupによる2023年第4四半期の調査結果
AWSは豊富なサービスが利用できる
AWSはサーバーとストレージ(データ記憶装置)の基本的なサービスからスタートしましたが、毎年新たなサービスを追加し、2024年3月現在では200以上のサービスを提供しています。
引用:AWSのクラウドが選ばれる10の理由|AWS公式サイト
AWSのサービス群は、企業が必要とするあらゆるITニーズに対応できるよう設計されており、ビジネスの規模や業種を問わず、効率的なソリューションを提供できます。
サービスの多様性と拡張性が、AWSが世界的な人気を得ている理由のひとつです。
AWSはビジネスのスピードを加速させる
AWSが持つクラウドとしてのメリットと豊富なサービスは、ビジネスのスピードを加速させます。
- サーバーを短時間で構築できる
- 開発スピードを向上させる機能がある
- 必要なサービスを即座に追加できる
- サーバーの管理コストを下げてクリエイティブな仕事に集中できる
- グローバル展開が容易
AWSを活用することで、企業は市場の変化に迅速に対応し、競争優位性を高めることができます。
AWSの具体的な導入事例が知りたい方は、下記の記事もぜひ参考にしてください。
関連記事:【事例から学ぶ】AWSのメリットや活用例を初心者にわかりやすく解説
他のクラウドサービスとの違い
AWSの特徴をより理解するには、他のサービスとの違いを確認するのが効果的です。
ここでは、AWSと比較されることの多い2つのサービスとの違いを解説します。
それぞれのサービスの良さを把握して、目的や用途に合った使い方をしましょう。
Microsoft Azureとの違い
Microsoft AzureはAWSと並んで世界的なシェアを誇るクラウドサービスであり、AWSとよく比較されます。
ここではMicrosoft Azureの特徴やAWSと使い分けるポイントを解説します。
Microsoft Azureとは
Microsoft AzureはMicrosoftが提供する、世界でNo.2のシェア(※1)を誇るクラウドサービスです。
Office(Excel・Word・Outlookなど)やWindowsなどのMicrosoft製品との高い親和性が特徴で、Microsoft製品との連携がスムーズに行なえます。
またセキュリティの高さも、Microsoft Azureの特徴です。
※1 Synergy Research Groupによる2023年第4四半期の調査結果
AWSとMicrosoft Azureを使い分けるポイント
AWSとMicrosoft Azureはどちらも優れたクラウドサービスですが、特徴や長所が異なるため、現行の環境や重視するポイントによって使い分けられています。
Microsoft Azureが利用されるケース | AWSが利用されるケース |
---|---|
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Google Cloudとの違い
AWS・Microsoft Azureと並んで比較されることの多いクラウドサービスがGoogle Cloudです。
ここではGoogle Cloudの特徴やAWSと使い分けるポイントを解説します。
Google Cloudとは
Google CloudはGoogleが提供する、世界No.3のシェア(※1)を持つクラウドサービスです。
Google製品(Gmail・Googleカレンダー・Googleスプレッドシートなど)とのシームレスな連携や、ビッグデータと機械学習に関する分析機能が大きな強みであり、大企業から中小零細企業、個人まで幅広く利用されています。
※1 Synergy Research Groupによる2023年第4四半期の調査結果
AWSとGoogle Cloudを使い分けるポイント
AWSとGoogle Cloudは、それぞれに一長一短があるため、下記のケースで使い分けられることが多いです。
Google Cloudを利用するケース | 高速で安定したパフォーマンスを求めている |
---|---|
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AWSを利用する前に知っておきたい3つのポイント
AWSを利用することになった際に失敗しないために、下記の3つのポイントを事前に抑えておきましょう。
ひとつずつ詳しく解説します。
AWSの専門知識が必要
AWSを活用するには、インフラやクラウドサービスの基礎知識に加え、AWS固有の専門知識が必要です。
AWSを構築するエンジニアだけでなく、他のエンジニアや企業側の担当者にも、AWSのサービスやベストプラクティス(最適な利用方法)の理解が求められます。
AWSを無料で勉強する方法は、下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
関連記事:【初学者向け】AWSを無料で効率的に学ぶ方法を解説!
AWSの料金体系は従量課金制
AWSの料金体系は従量課金制で、使用したサービスやリソースの量、利用時間に応じて料金が発生します。
「想定よりも高額になってしまった」ということがないよう、節約しながら利用しましょう。
- 1日の中で使う時間を限定する(夜間は使わないなど)
- 長期契約(1年または3年単位)による割引を活用する
- 定期的に利用状況を見直し、不要なリソースやサービスの利用を止める
- 最適なサービスを選定する
関連記事:AWSの料金体系とは?解約時の注意点も!
ユーザー側もセキュリティ対策が必要
AWSを含むクラウドサービスには、クラウドサービス事業者側とユーザー側が運用・管理の責任を持つ範囲が分けられています。
この責任範囲のことを「責任共有モデル」と呼び、AWSでは次の図のように定義されています。
システムやデータなどの大切な資産を守るためには、責任共有モデルを理解し、アクセス制限や運用の徹底などのセキュリティ対策を行いましょう。
まとめ|AWSの特徴を理解して活用しよう
AWSはクラウドサービスの利点とAWS独自の強みをあわせ持つことで、業界トップの地位をキープし続けています。
- AWSはシェアNo.1のクラウドサービス
- AWSは豊富なサービスが利用できる
- AWSはビジネスのスピードを加速させる
AWSのすごさをより深く理解したい方は、下記の記事もぜひご覧ください。
関連記事:AWSは何がすごい?事例を交えてわかりやすく解説!
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