クラウドサービスの導入を考える際、多くの場合にシェアNo.1のAWSを候補に入れるでしょう。
一方で、AWSがすごいとは聞くけれども、具体的に何がすごいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事ではAWSを効果的に活用するために、AWSの魅力や利用の際の注意点、AWSを活用した好事例などを解説します。
本記事を読めばAWSのすごさや魅力がはっきりとわかります。
これからAWSの導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。
AWSは何がすごいのか
AWSは何がすごいのかを理解するために、AWSの大きな特徴を2つ解説します。
まずは大まかな特徴を確認しましょう。
AWSは世界で最も利用されているパブリッククラウド
調査会社のシナジーリサーチグループが2024年2月に発表したデータによると、AWSはパブリッククラウド(※1)市場で31%のシェアを持ち、世界で最も利用されているパブリッククラウドです。
※1 不特定多数のユーザーが利用する形態のクラウドサービス
31%という圧倒的なシェアは、AWSの信頼性や機能性の高さを示しており、企業がAWSを選ぶ大きな理由となっています。
AWSは単なるクラウドサーバーではない
AWSは単なるサーバーやストレージ(データを保存する機能)ではなく、200以上のサービスを提供しています(2024年4月現在)。
クラウドサービスはIaaS・PaaS・SaaSの3つに分類されますが、AWSはIaaS・PaaS・SaaSの3つの要素をあわせ持っているのが大きな特徴です。
IaaS・PaaS・SaaSの違い | |
---|---|
サービスモデル | 説明 |
IaaS | サーバー、ストレージ、ネットワークなどのインフラを提供する。 ユーザーは提供された環境を自由に構成・使用できる。 |
PaaS | アプリケーションの開発、テスト、デプロイ、管理を行うためのプラットフォームを提供する。 開発者はアプリケーションの構築に集中できる。 |
SaaS | インターネット経由で利用できるアプリケーションを提供する。 ユーザーは環境を準備せず、アプリケーションだけを使用できる。 |
AWSはインフラからアプリケーション開発・運用まで、目的に合わせて柔軟に活用できる万能なクラウドサービスです。
AWSと他のパブリッククラウド共通の5つのメリット
AWSはパブリッククラウドのひとつであり、一般的なパブリッククラウドと共通するメリットを多く持ちます。
メリットの内容をひとつずつ詳しく解説します。
初期費用が抑えられる
パブリッククラウドを利用することで、物理サーバーを設置する場合に比べて初期費用を大幅に削減できます。
- 物理サーバーや周辺機器を買う必要がない
- サーバーをゼロから構築する必要がない
- 小規模から始められる
- 従量課金制のため、利用開始するための初期費用がかからない
物理サーバーの場合、機器の購入費や構築費用がかかるうえ、初めから将来的な使用量の増加を加味したスペックを準備する必要があるため、初期費用が高額になります。
すぐに利用を開始できる
オンプレミス環境(※1)のサーバーの導入には数ヶ月を要しますが、パブリッククラウドならアカウント開設後すぐに利用を開始できます。
- 購入したサーバーが納品されるのを待つ必要がある
- サーバーの設置や構築に時間がかかる
変化のスピードが速い現代のビジネスにおいて、パブリッククラウドの導入スピードの速さは大きな利点となっています。
※1 自社にサーバーなどのIT機器を設置し、自己管理する方式
インターネット環境があればどこからでも接続できる
インターネット接続があればどこからでもアクセス可能なパブリッククラウドは、業務の柔軟性と利便性を向上させます。
オンプレミス環境の場合は、データセンターなどの機器が置かれている場所に直接出向いての作業が必要です。
パブリッククラウドであればインターネット経由ですぐにアクセスできるため、開発の生産性が向上します。
- 環境の構築作業
- バージョンアップなどの保守作業
- トラブル時の調査や対応
スペックの増減が自由にできる
パブリッククラウドでは、ビジネスの成長や需要の変化に合わせて、スペックを自由に調整できます。
オンプレミス環境を構築する場合と違って初めからフルスペックを用意する必要がなく、最小限からスタートして必要に応じてスケールアップが可能です。
また事業を縮小する際にスケールダウンや契約の解除も可能なため、不要な資産を抱えるリスクも避けられます。
現代のビジネスは変化が早く競争が激しいため、パブリッククラウドの柔軟性の高さは大きなメリットです。
運用・管理の手間が減らせる
パブリッククラウドを利用することで、サービスプロバイダーにクラウド上の運用・管理を任せることができ、運用・管理にかかる負担が軽減されます。
- 機器のメンテナンスや故障対応
- ハードウェアやOSのアップデート
- データのバックアップ作業
コストの削減効果だけでなく、空いた時間や人的リソースをクリエイティブな仕事に集中させ、企業の競争力を高めることにもつながります。
AWSのここがすごい!4つの魅力
ここでは一般的なパブリッククラウドにはない、AWS独自の魅力について解説します。
AWSのすごさを具体的に理解できるため、ぜひ参考にしてください。
豊富なサービスを利用できる
AWSでは豊富なサービスを一つのプラットフォーム上で利用できることが最も大きな特徴です。
必要な機能を追加するだけで、即座に利用を開始できます。
AWSで利用できるサービスは200以上あり、各サービスを組み合わせることであらゆる業務に対応可能です。
日々新しい機能が追加される
AWSは年間3,000回以上のアップデートを実施し、常に最新の機能を提供しています。
AWS公式サイトには下記のように記載されており、AWSがユーザーの声をもとにして、ユーザーが使いやすいサービスを追求していることがわかります。
現在、 AWS では 200 を超えるサービスを提供しており、その 90%以上のサービス、機能は全世界のお客様からのリクエストをもとに実装されています。
引用:AWS の クラウドが選ばれる 10 の理由|AWS公式サイト
最新かつユーザーに寄り添ったサービスを提供し続けていることが、AWSが選ばれる理由のひとつだといえるよ~!
高いセキュリティを確保できる
AWSは「ISO27001(※1)」を含む国内外の厳格なセキュリティ基準に対応し、高いセキュリティレベルを提供しています。
インターネットを利用するパブリッククラウドは外部からの攻撃対象になりやすいため、AWSのセキュリティの高さは非常に大きな強みです。
ただし、次の図のようにAWSとユーザー側でセキュリティの責任が明確に分かれている点は注意しましょう。
※AWSに限らず、パブリッククラウドには責任範囲が明確に決められています。
※1 ISO27001は企業の情報セキュリティ管理体制を評価する国際規格。
情報の機密性・完全性・可用性の3つを維持することを目的としている。
グローバル展開しやすい
AWSのネットワークを活用することで、国内で開発したシステムを簡単に世界各国へ展開できます。
- 世界中のユーザーへ効率的にデータを配信できる
- 国内で構築したシステムを簡単に海外へ展開できる
- 世界各国から同じシステムにアクセスできる
グローバル展開を進めたい企業にとって、AWSは有力な選択肢となります。
AWSを利用する際の3つの注意点
AWSを利用する際には注意すべきポイントが3つあります。
導入後にトラブルが発生しないよう、事前に確認しておきましょう。
総額の費用が高額になる場合がある
利用料に応じて費用が発生する従量課金制であるAWSは、初期費用を抑えてスタートできる一方で、費用の総額が高額になるケースがあります。
特に大規模なインフラを持つ企業の場合、必要なリソースやサービスの数が膨大になり、費用が高額になりやすい傾向です。
新規サービスをスモールスタートさせる場合にはコストを最適化できる一方で、大規模システムをAWSに移行する際にはコスト面で慎重な検討が必要です。
費用の変動があるため予算を組みにくい
AWSは毎月の費用が変動するため予算計画を立てにくく、変動が大きい月には想定外のコストが発生する可能性があります。
- 利用するスペックやサービスを増減させることがある
- 料金がドルから円に換算されるため、為替の影響で変動する
AWSは利用状況に応じて柔軟に変更できる一方で、財務計画には注意が必要です。
多様なサービスを使いこなすための専門知識が必要
AWSの多様なサービスを効果的に活用するには、AWSに対する専門的な知識が不可欠です。
各サービスの特性と最適な利用方法を理解することで、AWSのポテンシャルを最大限に引き出せます。
豊富なAWSのサービスを理解するには継続的な学習や業務経験が必要なため、AWSの専門知識を持ったエンジニアが不足しており、需要が高まっています。
AWSエンジニアにとっては大きなチャンスであるため、AWSエンジニアに興味がある方は下記の記事をぜひご覧ください。
関連記事:目指すなら今がチャンス!AWSエンジニアに向いている人の特徴8選
AWSの何がすごいのか事例で解説
ここではAWSのすごさがわかる、3つの事例を紹介します。
AWSが具体的にどのような利益をもたらしてくれるのか、実際の事例をもとに解説していきます。
100台におよぶサーバーをAWSへ移行|日本ペイントグループ
日本ペイントグループは物理サーバー老朽化をきっかけに、約100台のサーバーと30のシステムからなる大規模なオンプレミス環境を、AWSへ移行させました。
移行後はシステムの柔軟性とパフォーマンスが大幅に向上。
さらに、AWSの移行促進プログラム(MAP)を通じてコスト最適化を実施し、AWS利用料を15.9%削減することに成功しました。
また、外部のパートナーに頼らずに、2名のAWS技術者を中心に大規模なシステムの移行を完遂させたことも、本事例の特徴です。
AWS Enterprise Supportサービスのサポートを活用したことが、難しいミッションを実現できた大きな要因となっています。
大規模システムのクラウド移行には多くの需要があり、本事例はモデルケースのひとつとなります。
災害時の情報伝達にAWSを活用|陸前高田市
陸前高田市はAWSを活用し、災害時の情報伝達と安否確認のための革新的なシステム「シン・オートコール」を構築しました。
本事例でAWSが採用された理由は下記の3つです。
- 各サービス・システムとの連携がしやすい
- 政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)を受けている
- 行政サービスでの利用に耐えうる信頼性/安定性を提供できる
Amazon Connect、Lambda、DynamoDB、対話型AIのAmazon Lexを組み合わせたシステムで、電話を通じて住民の安否を迅速に確認できます。
電話を使うことで、高齢者などのデジタル機器に不慣れな方も利用でき、災害時の人命救助に貢献することが期待されるシステムです。
現在は職員の安否確認に利用されており、住民向けサービスの実用化に向けて準備が進められています。
AWSが社会的課題の解決に貢献できることを示す好例であり、全国の自治体からも高い関心を集めています。
3億人分の膨大なデータをAWSで安全に管理|ポケモントレーナークラブ
ポケモントレーナークラブは、ポケモンGoとポケモンカードの3億人を超える大規模なユーザーデータをAWSに移行しました。
Amazon Aurora、ElastiCache、DynamoDB、S3を駆使して、膨大なデータを効率的に管理。
AWSへの移行前は6ヶ月間で168時間の停止やパフォーマンス低下があったものが移行後はゼロになり、ユーザーが快適に利用できるようになりました。
さらにAWSの高性能なインフラのおかげで、毎月のコストも大幅に削減しています。
AWSが大規模なデータを安全かつ効率的に管理できることを示す好事例です。
まとめ|AWSは現代のビジネスにマッチしたパブリッククラウド
AWSはパブリッククラウドとしてのメリットに加えて独自の強みを持つことで、他のパブリッククラウドとは一線を画しています。
AWSと一般的なパブリッククラウド共通のメリット | AWS独自の魅力 |
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初期費用が抑えられるすぐに利用を開始できるインターネット環境があればどこからでも接続できるスペックの増減が自由にできる運用・管理の手間が減らせる | 豊富なサービスを利用できる日々新しい機能が追加される高いセキュリティを確保できるグローバル展開しやすい |
AWSは変化の激しい市場への対応をサポートし、企業のIT戦略において中心的な役割を果たすサービスです。
AWSの活用方法についてさらに知りたい方は、下記の記事を参考にしてね~!!
関連記事:【AWSの活用方法を学ぶ】AWSにできることや用例を初心者にわかりやすく解説
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