「経験者が採れないので、ポテンシャル採用を検討したい」
「ただ、何を基準に選べばいいのか分かりません」
この記事は、そんな課題を持って「ポテンシャル採用 エンジニア」と検索した採用担当者の方のために書きました。
結論から言うと、ポテンシャル採用は「基準を下げる採用」ではありません。見る対象を「いまできること」から「伸びる条件を満たしているか」に切り替える採用です。基準を下げたつもりで進めると、入社後に想定と違う結果になります。
この記事では、経験者採用との違い、評価する4つの基準、選考フローの組み方、うまくいかない典型パターン、受け入れ後の設計を解説します。
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経験者採用とは何が違うのか
変わるのは基準の高さではなく、見る対象です。

| 経験者採用 | ポテンシャル採用 | |
|---|---|---|
| 見る対象 | いま何ができるか | 伸びる条件を満たしているか |
| 判断材料 | 職務経歴書、担当範囲、成果 | 学習の過程、制作物、思考の筋道 |
| 戦力化まで | 数週間〜数か月 | 半年〜1年を見込む |
| 失敗の主因 | スキルのミスマッチ | 受け入れ体制の不足 |
| 採用側の負担 | 選考の精度 | 選考+育成の設計 |
4行目と5行目が、経験者採用との最大の違いです。ポテンシャル採用は、採用した時点では半分しか終わっていません。残り半分は受け入れ側の設計で、ここを用意せずに採ると、本人の資質と無関係に失速します。
逆に言えば、育成の設計ができない状態でポテンシャル採用に踏み切るのは避けたほうがよいということです。まず「誰が、週に何回、どのくらいの時間を見るか」を決められるかを確認してください。
→ 採用全体の進め方は未経験エンジニア採用ガイドにまとめています。
評価する4つの基準
「地頭」や「熱意」といった曖昧な言葉を、確かめられる形に分解します。

| 基準 | 確かめ方 |
|---|---|
| ① 自分で決めて進めたか | 制作物の題材を誰が決めたか。「この中で自分で決めて作ったものはどれですか」 |
| ② 詰まりを言語化できるか | 「直近で一番手こずったのは何ですか。どう解決しましたか」 |
| ③ 指摘を受け止められるか | 作り直した跡があるか。「レビューで直した経験はありますか」 |
| ④ 継続できているか | 学習の記録。途切れた時期があっても、戻っていれば十分 |
②が最も実務に直結します。詰まりを言語化できる人は、入社後に「何が分からないか」を説明できます。これは受け入れ側の負担を大きく左右します。逆に、詰まった話を具体的に話せない候補者は、入社後も黙って止まる可能性があります。
③も見落とされがちです。ポテンシャル採用で入る人は、最初の数か月は指摘を受け続けます。そこで固まってしまう人は伸びにくく、直して持ってこられる人は速く伸びます。制作物に作り直した跡があるかは、この性質の手がかりになります。
逆に、評価しにくい項目もはっきりしています。学歴、前職の業界、資格の数。どれも伸びる条件とは直接つながりません。
①について補足します。課題として与えられたものと、自分で題材を決めたものは分けて見てください。スクールや教材の課題は全員が同じものを出してくるため、そこからは差が読み取れません。「この中で、自分で題材を決めて作ったものはどれですか」と聞いて、無ければ「無い」と分かるだけでも判断材料になります。
→ 見極めの具体的な手順は未経験エンジニアの見極め方にまとめています。
選考フローの組み方
1回の面接では、上の4つを確かめきれません。

| 段階 | 確かめる基準 | やること |
|---|---|---|
| 1. 書類 | ④ 継続 | 制作物のURLと学習の記録を出してもらう。ここで技術水準を判定しない |
| 2. 事前確認 | ① 自走 | エンジニアが30分で制作物を見て、聞くべき点を3つ出す |
| 3. 一次面接 | ② 言語化 | 2で出た点を本人に聞く。詰まった経験を深掘りする |
| 4. 二次面接 | ③ 受け止め | その場で小さな指摘をして、反応を見る |
| 5. 判断 | 4軸で合議 | 軸ごとに別々に出し合う。1人の印象で決めない |
4段階目が特徴的です。面接の場で「ここはこう書いたほうがよいですね」と1つ指摘してみてください。反論するか、黙るか、受け止めて考えるか。入社後のレビューの場面がそのまま再現されます。
5段階目では、4つの軸を別々に出し合ってください。総合印象で話し合うと、声の大きい人の意見で決まります。軸ごとに「この人は①が強いが②が弱い」と出すと、入社後にどこを支えるべきかまで見えてきます。
2段階目を入れるかどうかで、面接の質が変わります。事前に制作物を見ておくと、面接が一般的な質問からその人固有の質問に変わります。候補者にとっても、自分が作ったものについて話せるほうが実力が出ます。
うまくいかない典型パターン
失敗の多くは、選考ではなく設計の段階で決まっています。

| パターン | 何が起きるか | 避け方 |
|---|---|---|
| 基準を下げただけ | 経験者の要件から項目を削るだけで、見る対象が変わっていない | 4つの基準に置き換える |
| 受け入れ体制を決めずに採る | 質問できる相手が決まらず、数週間放置される | 採用前に「誰が・週何回・何時間」を決める |
| 即戦力を期待してしまう | 3か月で成果が出ないことを本人の問題と受け取る | 半年〜1年を前提に評価の時期を設計する |
| 1人だけ採る | 比較対象も相談相手もおらず、孤立しやすい | 可能なら同時期に2名、難しければメンターを明示する |
2行目が最も多い失敗です。「先輩が見てくれるだろう」で始めると、誰も自分の担当だと思っていない状態になります。名前を決めて、本人にも伝えてください。
4行目は意外に効きます。同時期に入った人がいると、分からないことを気軽に聞き合えます。1人だけの場合は、メンターを明示したうえで、週1回の定例を最初から予定に入れておくと近い効果が出ます。
→ 育成の設計は未経験エンジニアの人材紹介とはでも触れています。
受け入れ後の3か月
採ったあとの設計まで含めて、ポテンシャル採用です。

| 時期 | やること | やってはいけないこと |
|---|---|---|
| 1か月目 | 既存コードを読む課題。小さな修正から | いきなり新規機能を任せる |
| 2か月目 | レビュー前提で、独立した小さな機能を担当 | レビューを省略する |
| 3か月目 | 仕様の相談から入る仕事を1つ | ここまで作業だけをさせ続ける |
1か月目に既存コードを読ませるのは、その人の読み方を観察するためでもあります。どこから読み始めるか、分からない箇所をどう扱うか。ここで詰まり方の癖が分かると、その後の支え方を調整できます。
3か月目が分かれ目です。作業だけを渡し続けると、指示待ちの状態が固定されます。ポテンシャル採用で見たはずの「自分で決めて進める力」を、入社後に使わせないことになります。小さくてよいので、仕様を考える仕事を渡してください。
評価の面談も、この時期に一度入れてください。「何ができるようになったか」を本人と言語化しておくと、その後の伸び方が変わります。
ポテンシャル採用が向かない場合
すべての会社に向くわけではありません。

- 半年以内に戦力が必要:立ち上がりの期間を待てないなら、経験者採用か業務委託のほうが合います
- 教えられる人が社内にいない:エンジニアが1人しかいない状態では、その1人の負担が上限になります
- レビューの文化が無い:指摘し合う習慣が無いと、育つ機会そのものがありません
- 評価制度が経験年数に紐づいている:伸びても処遇に反映されず、早期に離れます
1つ目については、ポテンシャル採用と経験者採用を同時に進めるという選択もあります。直近の戦力は経験者で確保し、1〜2年後を見据えた枠でポテンシャル採用を並行する形です。片方に寄せる必要はありません。
2つ目は正直に判断してください。教える時間を取ると、その人の開発時間が減ります。その減少を織り込めるかどうかが、実行可能性を決めます。織り込めないなら、外部の研修や紹介サービスで育成の一部を外に出す選択もあります。
3つ目については、ポテンシャル採用を機にレビューを始めるのも一つの手です。結果的に既存メンバーにも効きます。
よくある質問
ポテンシャル採用は基準を下げる採用ですか?
違います。見る対象を「いまできること」から「伸びる条件を満たしているか」に切り替える採用です。経験者の要件から項目を削るだけだと、見る対象が変わっていないため、入社後に想定と違う結果になります。評価軸そのものを置き換えてください。あわせて、受け入れ側の設計まで含めて初めて成立する採用だと考えてください。
何を基準に選べばよいですか?
自分で決めて進めたか、詰まりを言語化できるか、指摘を受け止められるか、継続できているかの4つです。学歴や前職の業界、資格の数は伸びる条件と直接つながらないため、評価項目から外すことをおすすめします。主な材料になるのは制作物と学習の記録で、どちらも書類の段階で提出してもらえます。
戦力になるまでどのくらいかかりますか?
半年から1年を見込んでください。3か月で成果が出ないことを本人の問題と受け取ると、評価も本人の意欲も下がります。評価の時期をあらかじめ設計し、1か月目は既存コードを読む、2か月目はレビュー前提で小さな機能、3か月目は仕様の相談から、と段階を分けてください。
エンジニアが1人しかいない会社でも可能ですか?
難しくなります。教える時間の分だけ、その1人の開発時間が減るためです。その減少を織り込めるかどうかが実行可能性を決めます。織り込めない場合は、外部の研修や紹介サービスで育成の一部を外に出す選択肢もあわせて検討してください。無理に内製すると、教える側が先に消耗します。
同時に何人まで採るべきですか?
可能であれば同時期に2名をおすすめします。分からないことを気軽に聞き合える相手がいると、孤立しにくくなるためです。1人だけの場合は、メンターを名前で決めて本人にも伝え、週1回の定例を最初から予定に入れておくと近い効果が出ます。「先輩が見てくれるだろう」で始めないことが大切です。
未経験エンジニアの採用をお考えなら
ここまで書いてきたとおり、ポテンシャル採用の成否は「4つの基準を確かめられる材料があるか」と「受け入れの設計があるか」で決まります。ただし、履歴書と数十分の面接だけでは、学習の過程まで確かめるのは簡単ではありません。
RaiseTech Talentは、未経験エンジニアに特化した人材紹介サービスです。RaiseTech(レイズテック)で実務を想定したカリキュラムを学んだ受講生の中から、企業の採用要件に合う人材をご紹介します。
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採用した企業の事例
クラウドインテグレーションを手がけるアイレット株式会社様では、業界経験者の採用が難しく、未経験採用を始めたものの内製カリキュラムが業界の変化に追随できないという課題がありました。
RaiseTechの受講生を複数名採用した決め手は、「高難度のカリキュラムをやり抜いた自走力・学習力」と、学習背景が可視化されていて採用判断がしやすかったことです。採用した人材は半年でグループリーダーに昇進し、教育コストも大きく下がったとのことでした。
紹介できるのは、次の2コースの受講生です。AIエンジニア育成コースは、未経験からAI駆動開発を4か月で学んだ受講生。AWSコースは、クラウドインフラを学んだ受講生です。どちらの卒業生かは、ご紹介の際にお伝えします。
まとめ|採用した時点では半分しか終わっていない
この記事のポイントを3つにまとめます。
- 基準を下げる採用ではない。見る対象を「いまできること」から「伸びる条件を満たしているか」に切り替えます。経験者の要件から項目を削るだけでは、うまくいきません。
- 評価する基準は4つ。自分で決めて進めたか、詰まりを言語化できるか、指摘を受け止められるか、継続できているか。学歴や資格の数は外してください。
- 受け入れ体制を決めてから採る。「誰が・週に何回・どのくらいの時間を見るか」が決まっていない状態での採用は、本人の資質と無関係に失速します。
見極めの手順は未経験エンジニアの見極め方、採用全体は未経験エンジニア採用ガイドをご覧ください。
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