「エンジニアの採用手法が多すぎて、どれから手を付ければいいのか決められない」
「媒体も紹介もスカウトも試したが、どれが自社に合っているのか分からない」
この記事は、エンジニア採用の手法を一度整理したい採用担当の方のために書きました。
結論から言うと、手法に優劣はありません。決まるのは「年間の採用人数」と「採用にかけられる工数」の2つです。この2つが決まれば、候補は2つか3つに絞れます。
この記事では、7つの手法を費用のかかり方・工数・向いている規模で比較し、組み合わせ方まで整理します。
エンジニア採用の7つの手法
費用の発生タイミングで3つに分かれます。先に払うか、決まってから払うか、ほぼ払わないかです。
| 手法 | 費用の発生 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| ① 求人媒体 | 掲載時(先払い) | 掲載した時点で費用が確定。応募が来なくても戻らない |
| ② 人材紹介 | 採用決定時(後払い) | 決まらなければ費用が出ない。1人あたりの単価は高い |
| ③ ダイレクトリクルーティング | 利用料+成功報酬 | 自社から候補者へ直接スカウト。工数が継続的にかかる |
| ④ リファラル採用 | インセンティブのみ | 社員の紹介。単価は最も低いが、人数の計画が立てにくい |
| ⑤ 自社採用サイト・SNS | 制作費・運用工数 | 積み上がる資産になるが、立ち上がりに時間がかかる |
| ⑥ イベント・勉強会 | 出展費・工数 | 技術的な相性を確かめやすい。母集団は小さい |
| ⑦ SES・業務委託からの転換 | 切替時の条件交渉 | 一緒に働いた実績があるため、ミスマッチが起きにくい |
①②③が母集団を作る手法、④⑤⑥⑦は関係から採る手法です。多くの会社は①②③のどれかを軸に置き、④⑦で補う形になります。
エンジニア採用で特有なのは、候補者が転職活動を公にしないまま情報収集していることが多い点です。媒体に登録していない層に届かせるには③や⑥が要りますが、そのぶん工数がかかります。
費用のかかり方で比べる
単価ではなく、「採用できなかったときにいくら残るか」で見てください。
| 手法 | 採用できた場合 | 採用できなかった場合 | 費用が読めるか |
|---|---|---|---|
| ① 求人媒体 | 掲載費のみ。複数人採れば1人あたりは下がる | 掲載費がそのまま残る | 読める(先に確定) |
| ② 人材紹介 | 成功報酬。1人あたりは高い | 費用は発生しない | 読める(決定時に確定) |
| ③ ダイレクトリクルーティング | 利用料+成功報酬 | 利用料が残る | 利用料は読める |
| ④ リファラル採用 | インセンティブのみ | 費用は発生しない | 読めない(紹介が出るか不確実) |
| ⑤ 自社サイト・SNS | 運用工数が主 | 工数が残る | 読みにくい |
| ⑥ イベント | 出展費+工数 | 出展費が残る | 読める |
| ⑦ 業務委託からの転換 | 条件交渉のみ | — | 読める |
採用の確度が読めないポジションほど、②のように後払いの手法がリスクを抑えます。要件が特殊で母集団が作れるか分からない場合、媒体に掲載しても応募が来ないまま費用だけが出ていきます。
逆に、年間の採用人数が多いほど②は不利になります。1人あたりの単価が積み上がるためです。採用人数が二桁になるなら、①や⑤に投資して1人あたりを下げるほうが総額は小さくなります。
→ 成功報酬の仕組みと契約条項はエンジニア人材紹介の成功報酬とは、媒体の課金方式はエンジニアの求人媒体を比較で扱っています。
工数で比べる
見落とされるのがこちらです。費用が安い手法ほど、自社の工数は重くなります。
| 手法 | 自社でやること | 工数の重さ |
|---|---|---|
| ① 求人媒体 | 求人票の作成、応募対応、一次スクリーニング | 中 |
| ② 人材紹介 | 要件の共有、面接。母集団形成は外に出せる | 小 |
| ③ ダイレクトリクルーティング | 候補者の検索、スカウト文の作成と送信、返信対応 | 大(継続的) |
| ④ リファラル採用 | 社員への周知、制度設計、紹介後のフォロー | 中 |
| ⑤ 自社サイト・SNS | コンテンツの制作と更新、問い合わせ対応 | 大(継続的) |
| ⑥ イベント | 企画、当日の対応、その後の接触 | 中(スポット) |
| ⑦ 業務委託からの転換 | 条件の整理と交渉 | 小 |
採用担当が1人、あるいは他業務と兼任という体制なら、③と⑤は止まります。スカウトは送り続けないと母集団が作れず、オウンドメディアは更新が止まると流入が落ちます。どちらも「始めたら続ける」前提の手法です。
この場合は②を軸に置くのが現実的です。母集団の形成と一次スクリーニングを外に出せるため、自社に残るのは要件の共有と面接だけになります。
→ 工数をかけずに未経験層へ届かせる方法は未経験エンジニアの人材紹介とはにまとめています。
企業規模・採用人数別の選び方
年間の採用人数と、採用に割ける人数で決まります。
| 状況 | 軸に置く手法 | 補う手法 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 年1〜3名・採用担当は兼任 | ② 人材紹介 | ④ リファラル | 固定費が出ない。工数が最も小さい |
| 年3〜10名・採用担当が専任1名 | ① 媒体 + ② 紹介 | ③ スカウト | 媒体で母集団、紹介で確実性を担保 |
| 年10名以上・採用チームあり | ① 媒体 + ③ スカウト | ⑤ 自社サイト | 1人あたりの単価を下げる必要がある |
| 要件が特殊・母集団が読めない | ② 人材紹介 | ⑥ イベント | 掲載しても応募が来ないリスクを負わない |
| 既に業務委託で一緒に働いている | ⑦ 転換 | — | 実績があるためミスマッチが起きにくい |
| 未経験層を育てる前提 | ② 未経験特化の紹介 | ④ リファラル | 学習過程まで情報が揃った状態で会える |
どの行でも、1つに絞る必要はありません。軸を1つ決めて、補う手法を1つ足す。この形が最も安定します。
規模が小さいうちから③や⑤に手を出すと、工数を食われて本業が止まります。人数が増えてから単価を下げに行く、という順番のほうが、途中で破綻しません。
組み合わせるときの考え方
並行して走らせること自体は問題ありません。問題になるのは、経路の重複と履歴の管理です。
同じ候補者が、媒体からの応募と紹介会社からの推薦で二重に来ることがあります。このとき、どちらに費用を払うかの取り決めが無いと揉めます。先に次の3つを決めておいてください。
- 経路の優先順位:先に接触した側を優先するのが一般的。契約書に定めがあるか確認する
- 応募履歴の一元管理:いつ・どの経路で接触したかを残す。自社サイトからの直接応募も含める
- 自社応募の扱い:過去に自社へ直接応募していた候補者を、後から紹介された場合をどうするか
もう1つ、手法ごとに候補者層が違う点も意識してください。媒体に登録している層、スカウトに反応する層、紹介会社が抱える層は重なりません。同じ求人票を使い回すと、どの層にも刺さらない内容になります。
→ 媒体ごとの課金方式と層の違いはエンジニアの求人媒体を比較にまとめています。
手法を変える前に見直すこと
うまくいかない原因が手法ではなく、要件か選考フローにあることがあります。先にここを確認してください。
| 症状 | 疑うところ | 確認すること |
|---|---|---|
| 応募が来ない | 要件が厳しすぎる | 必須条件と歓迎条件を分けているか。両方を必須にしていないか |
| 応募は来るが合わない | 求人票の書き方 | 何を作る仕事かが具体的に書かれているか。技術スタックだけになっていないか |
| 面接まで進まない | 選考フローの長さ | 面接の回数と、1次から内定までの日数。他社と並行している候補者は待てない |
| 内定を辞退される | 条件か、動機づけ | 提示条件の水準。選考中に「何をやるか」を伝えられているか |
| 入社後に早期退職 | 受け入れ体制 | 教える人がいるか。レビューの仕組みがあるか |
いちばん多いのは1行目です。必須条件を積み上げると母集団が消えます。どの手法を使っても、条件に合う人がいなければ採れません。「落とせない条件」だけを必須に残してください。
5行目も手法では解決しません。採用そのものより、入社後に成立するかどうかのほうが結果を左右します。受け入れ体制が無いまま人数を増やすと、採用コストが繰り返し発生します。
→ 未経験を受け入れる体制づくりは未経験エンジニア採用ガイド、見極めの観点は未経験エンジニアの見極め方で解説しています。
未経験層を採る場合の手法選び
経験者とは手法の向き不向きが変わります。未経験層は、媒体やスカウトでは絞り込みの材料が足りないためです。
経験者であれば、職務経歴で「何をどこまでやったか」が分かります。未経験層にはそれがありません。代わりに見るのは学習の過程と制作物ですが、これらは求人媒体のプロフィール欄には出てきません。
| 手法 | 未経験層との相性 | 理由 |
|---|---|---|
| 求人媒体 | △ | 応募は集まるが、学習歴の記載が揃わず一次スクリーニングに工数がかかる |
| ダイレクトリクルーティング | △ | 検索条件で絞れない。経験者向けの機能が中心 |
| 未経験特化の人材紹介 | ○ | 学習過程や制作物の情報が揃った状態で会える |
| リファラル採用 | ○ | 人柄が分かっている。ただし人数の計画は立たない |
| イベント・勉強会 | ○ | 学習意欲と技術的な相性を直接確かめられる |
未経験採用で失敗するのは、経験者と同じフローで選考してしまう場合です。職務経歴書だけで判断すると、材料が無いまま落とすことになります。制作物のURLを応募時に出してもらう、学習記録を見る、といった運用に変える必要があります。
→ ポテンシャル枠の設計はエンジニアのポテンシャル採用とはにまとめています。
RaiseTech Talentについて
RaiseTech Talentは、RaiseTechの受講生を採用企業に紹介するサービスです。運営はPISTEC株式会社、有料職業紹介事業許可番号は 27-ユ-305240 です。
紹介の対象は、AIエンジニア育成コース(旧Javaコース)とAWSコースの受講生です。転職市場でスカウトした人材ではなく、高難度のカリキュラムを完走した受講生を紹介しています。
この記事の文脈で言えば、未経験層を②の手法で採る場合の選択肢にあたります。採用の判断材料として、次のものが見られます。
- 学習の過程:どこで詰まり、どう解決したかの記録が残っている
- 制作物とGitHub:作ったものと、そのコードを直接確認できる
- カリキュラムを完走した事実:自走力と継続力の判断材料になる
料金は初期費用0円・完全成功報酬型で、早期退職時の返金制度を設けています。詳細は無料相談でご案内しています。
RaiseTech(レイズテック)は、受講者数2,500名超え!現役エンジニアが講師を務めるAIエンジニア育成のオンラインスクールです。運用歴は7年になります。
よくある質問
エンジニア採用で最も費用が安い手法はどれですか?
単価だけならリファラル採用が最も低く抑えられます。ただし紹介が出るかどうかは社内の人数と関係性に依存するため、計画的に人数を確保する手段にはなりません。安さと確実性は別の軸なので、年間の採用計画人数から逆算して組み合わせてください。1つに絞る必要はありません。
採用担当が1人しかいない場合、どの手法が向いていますか?
人材紹介が向いています。母集団の形成と一次スクリーニングを外に出せるため、工数が最も小さく済みます。逆にダイレクトリクルーティングは、スカウト文の作成と送信、返信対応に継続的な時間がかかるため、専任がいない体制では止まりやすくなります。工数は先に見積もってください。
求人媒体と人材紹介はどちらを先に試すべきですか?
年間の採用人数で決まります。1〜3名なら人材紹介が向いていて、決まらなければ費用が発生しません。10名以上なら媒体のほうが1人あたりの単価は下がります。まず紹介で1名採ってから媒体を検討する、という順序も現実的です。計画人数を先に確定させてください。
複数の手法を同時に使っても問題ありませんか?
問題ありません。むしろ併用が前提になることが多くなっています。ただし同じ候補者が複数の経路から応募してくることがあるため、どの経路を優先するかの取り決めと、応募履歴を一元管理する仕組みを先に用意しておいてください。後から揉める原因になります。
未経験エンジニアを採る場合、手法の選び方は変わりますか?
変わります。未経験層は媒体やスカウトでは母集団が絞りにくく、学習歴や制作物を見ないと判断できません。未経験に特化した人材紹介や、スクールと連携した経路のほうが、候補者の学習過程まで情報が揃った状態で会えます。見極めの材料が先に手に入ります。
まとめ|手法は「採用人数」と「工数」で決まる
7つの手法に優劣はありません。自社の条件に合うかどうかだけです。
- 年間の採用人数で軸が決まる。1〜3名なら人材紹介、10名以上なら媒体やスカウトで単価を下げる
- 工数で絞り込む。採用担当が兼任なら、スカウトとオウンドメディアは止まる
- 費用は「採用できなかったときにいくら残るか」で見る。母集団が読めないポジションは後払いが安全
- 軸を1つ、補助を1つ。全部やろうとすると、どれも中途半端になる
- 未経験層は手法が変わる。職務経歴ではなく学習過程と制作物を見る必要がある
うまくいかないときは、手法を変える前に要件と選考フローを見てください。必須条件を積み上げていないか、選考に時間がかかりすぎていないか。ここが原因であれば、手法を変えても結果は変わりません。
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