「スクール卒は使えない、と社内で言われました」
「実際のところ、採用して大丈夫なのでしょうか」
この記事は、そんな疑問を持って「プログラミングスクール卒 採用」と検索した採用担当者の方のために書きました。
結論から言うと、「スクール卒だから使えない」は正確ではありません。ただし、その言葉が生まれる原因は実在します。原因は出身ではなく、選考で見る材料を間違えていることにあります。
この記事では、実際に起きているミスマッチ、課題と自作の制作物の見分け方、選考で確かめる質問、そして受け入れ後の3か月の設計を解説します。
RaiseTech(レイズテック)は、受講者数2,500名超え!現役エンジニアが講師を務めるAIエンジニア育成のオンラインスクールです。スクールを運営している立場ですが、この記事ではスクール卒を勧める書き方はしません。採用側が見るべき材料を、判断できる形でお渡しします。
「使えない」と言われる理由は実在する
感情的な偏見ではなく、実際に起きたミスマッチの記憶から来ています。

| 採用側が感じたこと | 実際に起きていたこと |
|---|---|
| 書けると思ったら書けなかった | 教材の手順どおりには書けるが、要件から設計に落とす経験がない |
| 全員が同じことを言う | 同じ課題を全員が提出しているため、選考で差が出ない |
| 詰まると止まってしまう | 質問すれば答えが返る環境にいたため、自力で切り分けた経験が少ない |
| 早期に辞めてしまった | 受け入れ側の体制が無く、放置されていた |
4行目は採用側の課題です。残りの3つも、よく見ると「スクール卒だから」ではなく「選考で見た材料が足りなかった」という話になっています。
同じ現象は、独学で学んだ人にも、他業種からの転職者にも起きます。出身で分けると、本当は見抜けたはずの差を見落とします。
→ 見極めの全体像は未経験エンジニアの見極め方にまとめています。
課題と自作の制作物は分けて見る
この1点を分けるだけで、選考の精度は大きく変わります。

提出された制作物が課題なのか自作なのかは、次の点で見分けられます。
| 見る場所 | 課題によくある状態 | 自作によくある状態 |
|---|---|---|
| 題材 | 一般的な題材(家計簿、蔵書管理など) | 本人の生活や前職に紐づいた題材 |
| 説明の文章 | 機能の一覧が並んでいる | なぜ作ったかが書いてある |
| 変更の履歴 | 短期間にまとまって記録されている | 期間が長く、途中に間が空いている |
| 作らなかった機能 | 説明がない | 意図的に外した理由を言える |
課題があること自体は問題ではありません。問題なのは、課題しか無い状態です。同じ課題を全員が出してくるため、そこからは差が読み取れません。
確認の仕方は簡単です。「この中で、自分で題材を決めて作ったものはどれですか」と聞いてください。無ければ「無い」と分かるだけでも情報になります。
スクール卒を採る利点も具体的にある
公平のために、独学者と比べたときの差も書いておきます。

- ① 学習の記録が残っている:進捗、提出物、質問の履歴。判断材料が最初からそろっている候補者は多くありません
- ② 期限のある学習をやり切った事実:働きながら数か月続けたのであれば、時間の作り方も分かります
- ③ レビューを受けた経験:指摘されて直す往復を経験していると、入社後のコードレビューに慣れるのが早くなります
①は見落とされがちです。独学の候補者は、どのくらいの期間、どう詰まりながら進んだのかが見えないことが多いのに対し、スクール経由なら学習の過程が残っています。これは選考の材料として価値があります。
ただし、記録があること自体が実力の証明ではありません。記録を読んで、詰まり方と越え方を見てください。そこに差が出ます。
選考で確かめる質問
出身を聞くのではなく、経験の中身を聞いてください。

| 質問 | 何を見ているか |
|---|---|
| この中で、自分で題材を決めて作ったものはどれですか | 課題と自作の切り分け |
| その制作物で、作らなかった機能はありますか。なぜですか | 判断の筋道。捨てる決断ができるか |
| カリキュラムで一番手こずったところはどこですか | 詰まりの具体性。すらすら答えられない人は記憶が薄い |
| 質問できない状況だったら、どう進めますか | 自走の見込み。答えの具体性を見ます |
| 卒業後、何か続けていますか | 学習が「期間限定の行事」で終わっていないか |
3つ目と5つ目が効きます。手こずった箇所を具体的に話せる人は、その経験を言語化できているということです。入社後も「何が分からないか」を説明できます。
5つ目は、修了から時間が経っている候補者ほど重要になります。卒業後に何も触っていない場合、当時の技術水準は残っていないと考えたほうが安全です。責めるのではなく、事実として確認してください。
逆に、聞いても差がつかない質問もあります。「どのスクールに通っていましたか」「なぜそのスクールを選びましたか」。答えから実力は読み取れません。
受け入れ後の3か月で決まる
「使えなかった」の何割かは、入社後の設計で起きています。

| 時期 | やること | やってはいけないこと |
|---|---|---|
| 1か月目 | 既存コードを読む課題。小さな修正から | いきなり新規機能を任せる |
| 2か月目 | レビュー前提で、独立した小さな機能を担当 | レビューを省略する |
| 3か月目 | 仕様の相談から入る仕事を1つ | ここまで作業だけをさせ続ける |
右の列が実際に起きていることです。特に多いのが、レビューの省略と、放置です。質問できる相手が決まっていない状態で数週間置かれると、本人の適性とは無関係に失速します。
受け入れ前に、「誰が、週に何回、どのくらいの時間を見るか」を決めておいてください。ここが決まっていない状態での未経験採用は、出身に関わらずうまくいきません。
→ 採用の進め方は未経験エンジニア採用ガイド、紹介経由の場合は未経験エンジニアの人材紹介とはにまとめています。
結局どう判断すればよいか
出身を条件にせず、材料で判断してください。

整理すると、こうなります。
- 「スクール卒だから採らない」は、材料を捨てている:学習の記録が残っている候補者を、見ずに外すことになります
- 「スクール卒だから安心」も違う:修了は、カリキュラムを終えたという事実にすぎません
- 見るのは、課題の外で何をしたか:自分で題材を決めたか、卒業後も続けているか
採用の基準を作るときは、出身の欄を評価項目から外すことをおすすめします。代わりに「自分で決めて作ったものがあるか」「詰まりを言語化できるか」を項目にしてください。これなら、スクール卒にも独学者にも同じ物差しが当たります。
そして、見送った理由は記録に残してください。数回分たまると、自社にとって伸びる人の輪郭が見えてきます。「スクール卒だから」という理由が並んでいたら、それは基準がまだ作れていないという合図です。
よくある質問
スクール卒は独学の人より実力が低いのですか?
出身と実力は直結しません。どちらにも、自分で題材を決めて作った人と、教材をなぞっただけの人がいます。違いが出やすいのは学習の記録が残っているかどうかで、スクール経由のほうが選考で使える材料はそろっている傾向があります。記録の中身を読んで判断してください。
修了証やポートフォリオはどこまで信用できますか?
修了証はカリキュラムを終えた事実を示すもので、実力の証明ではありません。ポートフォリオも、課題として与えられたものか自分で決めたものかで意味が変わります。まず「この中で自分で題材を決めたものはどれですか」と確認してください。そこから会話を始めると差が見えます。
卒業から時間が経っている候補者はどう見ますか?
卒業後に何を続けているかを確認してください。何も触っていない場合、修了時点の技術水準は残っていないと考えるほうが安全です。責める必要はありませんが、受け入れ後の立ち上がりに必要な期間が変わるため、事実として押さえたうえで計画に織り込んでください。
面接で「どのスクールに通っていましたか」と聞く意味はありますか?
選考の判断材料としては弱い質問です。スクール名から実力は読み取れず、答えを比べても差がつきません。同じ時間を使うなら、カリキュラムで一番手こずったところや、質問できない状況でどう進めるかを聞くほうが、その人固有の情報が返ってきます。出身ではなく、経験の中身を聞く形に置き換えてください。
採用基準に「スクール卒可」と書くべきですか?
出身を条件欄に置くことはおすすめしません。代わりに「自分で題材を決めて作ったものがある方」といった形で、見たい材料そのものを書いてください。これならスクール卒にも独学者にも同じ物差しが当たり、応募者側も何を用意すればよいかが分かります。募集要項が、そのまま選考基準の宣言になります。
未経験エンジニアの採用をお考えなら
ここまで書いてきたとおり、判断を分けるのは出身ではなく、手元にある材料の量です。とはいえ、履歴書と数十分の面接だけでは、学習の過程まで確かめるのは簡単ではありません。
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紹介できるのは、次の2コースの受講生です。AIエンジニア育成コースは、未経験からAI駆動開発を4か月で学んだ受講生。AWSコースは、クラウドインフラを学んだ受講生です。どちらの卒業生かは、ご紹介の際にお伝えします。
まとめ|出身ではなく、課題の外で何をしたか
この記事のポイントを3つにまとめます。
- 「使えない」と言われる原因は実在するが、出身のせいではない。課題しか提出されていない状態では差が読み取れず、選考で見る材料が足りていないことが原因です。
- 課題と自作の制作物を分けて見る。「この中で、自分で題材を決めて作ったものはどれですか」と聞くだけで、判断の材料が変わります。
- 「使えなかった」の何割かは受け入れ後に起きている。誰が、週に何回、どのくらい見るかを決めてから採用してください。
見極め方は未経験エンジニアの見極め方、採用全体の進め方は未経験エンジニア採用ガイドをご覧ください。
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