「プログラミングを始めたいが、何から手を付ければいいのか分からない」
「ロードマップを3つ見たら、3つとも違うことが書いてあった」
順番が人によって違うのには理由があります。「何から」の答えは、どの入口を目指すかで変わるからです。入口を決めずに探しても、答えは出ません。
この記事では、まず入口の決め方を置き、そのうえで国が「ITの共通基礎」として定義している範囲と、入口別に最初の3か月で触るものを整理します。
先に結論を書くと、共通で必要なものは思ったより少なく、入口によって変わる部分のほうが大きいです。そして続かない理由は、教材選びではなく詰まり方にあります。
「何から」は、入口を決めないと答えが出ない
同じ「エンジニア」でも、最初に触るものは入口によって変わります。Webアプリを作る人とサーバーを運用する人では、1か月目にやることが別です。
ロードマップが人によって違うのは、書いた人が想定している入口が違うからです。どれかが間違っているわけではありません。

ですから順番はこうなります。
- 入口(職種)を1つ決める
- 共通の基礎に最低限だけ触る
- 入口に固有のものへ進む
1を飛ばして2から始めると、「広く浅く」のまま時間だけが過ぎます。どの職種から入るかは未経験から入りやすいIT職種の選び方で、厚生労働省の基準から整理しました。入口を決めてから戻ってきてください。
国が定義している「ITの共通基礎」の範囲
共通の基礎と言われても、どこまでが基礎なのかは人によって違います。ここだけは、公的に定義されたものがあります。
IPA(情報処理推進機構)の基本情報技術者試験です。対象者像はこう書かれています。
ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者
試験の構成は次のとおりです。
| 試験時間 | 出題形式 | 出題数 | |
|---|---|---|---|
| 科目A | 90分 | 多肢選択式(四肢択一) | 60問 |
| 科目B | 100分 | 多肢選択式 | 20問 |
CBT方式により随時実施されています。春期・秋期のような区切りはありません。
この記事は「基本情報を取れ」とは言いません
資格を取るかどうかは別の判断です。ここで使うのは範囲のほうです。
「ITの基礎として何を押さえるべきか」で迷ったとき、個人のロードマップより、国が定義した出題範囲のほうが参照先として安定しています。科目Aの60問がカバーしている領域を見れば、共通基礎の輪郭が分かります。
そのうえで、未経験の最初の3か月で全部やる必要はありません。範囲を知ったうえで、入口に関係するところから手を付けてください。
入口別|最初の3か月で触るもの
ここからは公的な定義がありません。求人票に書かれている応募要件と、各入口の仕事の中身から整理したものとして読んでください。

| 入口 | 1か月目 | 2〜3か月目 | 作るもの |
|---|---|---|---|
| 開発(Web・業務システム) | 言語を1つ/エディタ/Git | フレームワーク/データベース/HTTPの基本 | 画面からデータを保存して読み出せるもの |
| インフラ・クラウド | Linuxのコマンド/ネットワークの基本 | クラウドで1つ環境を作る/IaCの初歩 | 自分で立てた環境と、その構成図 |
| 運用・サポート | OSの基本操作/問い合わせの切り分け | ログの読み方/手順書の書き方 | 手順書と、切り分けの記録 |
どの入口でも共通する3つ
- 言語を1つ。どれでも構いません。2つ目は1つ目が動くようになってから
- Git。学習の記録がそのまま残り、選考で見てもらう材料になります。最初の週に入れてください
- エラーメッセージを読む習慣。これが技術より効きます
3つ目を軽く見ないでください。入った後に最初に任されるのも、不具合の再現と小さな修正です。
順番を間違えやすい3つ
1. 数学から始めてしまう
AIや機械学習に関心がある人ほど、線形代数や統計から入ろうとします。入口がWeb開発やインフラなら、最初の3か月では使いません。必要になったときに戻るほうが早く進みます。
2. 教材を3つ以上並行する
同じ内容を別の説明で読むのは、理解が進んでいるようで進んでいません。1つを最後まで通してから次に行ってください。詰まったときだけ別の説明を見る、が順番です。
3. 作る前に資格を取ろうとする
資格は範囲を知るためには役立ちますが、動くものを作った経験の代わりにはなりません。選考で見られるのは、作ったものと、作る過程でどう詰まりを越えたかです。
独学だけでどこまで行けるかについては、AIエンジニアの文脈ですがAIエンジニアは独学でなれる?で、教材の段階ごとに整理しています。
どれくらい時間が要るのか
「◯時間で転職できる」という公的な根拠はありません。ただし、入る前に訓練期間が要るかどうかについては、公的な定義があります。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には「未経験でも比較的入りやすい職業」という区分があり、就業前の実務経験と訓練期間の両方で判定されています。IT系でこの区分に入っている職業と、システムエンジニアやプログラマが入っていない理由は未経験から入りやすいIT職種の選び方にまとめました。
結論だけ言うと、開発やインフラの入口は「入る前に訓練期間が要る」側です。準備なしで入れる前提で計画を立てないでください。
30代以降で始める場合に何が変わるかは30代・未経験からのIT転職、入口を決めたあとの全体の手順は未経験からエンジニアに転職する完全ガイドにあります。
続かない理由は、教材ではなく詰まり方
学習が止まるのは、たいてい教材が合わなかったからではありません。同じところで何時間も動けなくなって、そのまま離れるからです。

詰まったときの手順を、始める前に決めておいてください。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | エラーメッセージを最後まで読む。英語でも飛ばさない。ファイル名と行番号が書いてある |
| 2 | 直前に変えたところを1つずつ戻す。動いていた状態まで戻れば原因の範囲が狭まる |
| 3 | エラー文をそのまま検索する。自分の言葉に直さない |
| 4 | 30分で進まなければ人に聞く。試したこと・エラー文・期待した結果を添える |
4行目を決めておけるかどうかが、独学が続くかどうかを分けます。「分かるまで自分で調べる」は、学習中も仕事中も良い基準ではありません。聞く相手がいない状態で始めるなら、どこで聞くかを先に用意しておいてください。
入った後に配属や働き方がどう決まるのかはSESの案件ガチャは本当?で、契約の条文から整理しています。
未経験からITに入るなら、いまはAI側から
ここまでは何から勉強するかの話でした。順番を決めたあとに効いてくるのは、詰まったときに聞ける相手がいるかどうかです。
開発系の中でも、AIを使った開発は求人が増えている領域です。しかも未経験から入る人にとって不利が小さいという特徴があります。全員にとって新しい技術なので、経験年数の差が他の領域ほど効かないためです。
→ 職業としての全体像はAIエンジニアとは?完全ガイド、将来性はAIエンジニアの将来性にデータでまとめています。
RaiseTech(レイズテック)のAIエンジニア育成コースは、未経験からその入口を目指すためのオンラインスクールです。
- 未経験からAIエンジニアを目指せます(転職支援つき)
- 受講料は798,000円(税込)、学割は598,000円。入学金はなく、受講料のみです。専門実践教育訓練の指定講座で、条件を満たせば最大80%・年間上限64万円が給付されます
- 累計2,500名超の受講生。現役エンジニアが講師です
- 現在は、RaiseTech(運営:PISTEC株式会社、有料職業紹介事業者・許可番号 27-ユ-305240、2026年5月1日許可)が企業と直接、人材紹介契約を結んでいる求人をご紹介しています。正社員として紹介先企業に直接雇用される形で、派遣会社やSES企業を間に挟みません。修了生の転職先の一例がKDDIアイレット株式会社(クラウド総合支援「cloudpack」を提供。旧アイレット株式会社)で、未経験からの入社後にグループリーダーを務めている例が、第三者メディアの取材記事で紹介されています
指定番号 2712025-2620011-5、指定期間 2026年10月1日〜2029年9月30日。給付金の支給には条件があり、受講開始前にハローワークでの手続きが必要です。年齢などの要件には例外もあり、問題ないケースもあります。詳しくは各スクールの給付金担当者にお問い合わせください。
紹介先の一例として挙げたKDDIアイレット株式会社は、2026年4月にKDDI Digital Divergence Holdings株式会社と合併し、アイレット株式会社から社名変更しています(同社公式の会社概要・沿革で2026年10月16日確認)。取材記事は旧社名の時点のものです。取材記事はコエテコキャンパス(2024年5月15日公開/2025年5月26日更新)で、同記事には受講生の発言として「転職の斡旋はしていない」という当時の説明が含まれます。RaiseTech は2026年5月1日に有料職業紹介事業の許可(27-ユ-305240)を取得し、現在は企業と直接結んだ人材紹介契約にもとづいて紹介しています(運営者確認・2026年10月17日)。同じ方のインタビューは江崎さんのインタビューにもあります。
未経験からエンジニアになった受講生の実績
「本当に未経験からなれるのか」は、実際になった人を見るのが一番早いです。いずれもAWS・Javaコースの卒業生ですが、「未経験から学び、作ったものを見せ、転職する」という道筋は職種が変わっても同じです。
事例①:完全未経験から半年でWebエンジニアへ|年収250万円→600万円
プログラミング完全未経験からJavaコースを受講し、受講開始から半年でWebエンジニアとして転職。フルリモート・残業ゼロの働き方になりました。特別な才能があったわけではなく、講義に毎週出席し、分からないことをその週のうちに質問で解消する、という当たり前のことを止めずに続けた結果です。
事例②:30代後半・未経験からクラウドインフラエンジニアへ
30代後半、AWS未経験からAWSコースを受講。キャリアチェンジ後の最初の職場で年収600万円に到達し、フルリモートで働いています。前職までの社会人経験は、エンジニアになってからもプロジェクトの進め方や顧客とのやり取りで強みになります。
事例③:SESから年収800万円へ
本業に副業を足して年収800万円に到達した事例です。入ったあとの伸び方の一例として参考になります。
→ スクールを使うかどうかで迷っている場合は、未経験向けプログラミングスクール比較11選で11社を受講料・給付金・対象職種で比べています。
→ 入った後に何が起きるかは未経験エンジニアの現実で、厚生労働省の調査データから整理しています。
よくある質問
最初の言語は何がいいですか
入口によります。Web開発ならその現場で使われているもの、インフラならシェルとLinuxのコマンドが先です。どれが正解かより、1つを最後まで通すほうが効きます。2つ目は1つ目で動くものを作ってからにしてください。
基本情報技術者試験は受けたほうがいいですか
この記事では範囲の参照先として紹介しました。受けるかどうかは別の判断です。CBT方式で随時受けられるので、時期に縛られずに決められます。ただし作ったものの代わりにはなりません。
毎日どれくらい勉強すればいいですか
公的な根拠のある目安はありません。時間を決めるより、止まった時期から戻れる仕組みを先に作るほうが効きます。学習が止まること自体は珍しくありません。
ロードマップどおりに進めなくても大丈夫ですか
大丈夫です。ロードマップは書いた人が想定した入口の順番なので、自分の入口と違えば当然ずれます。入口を決めてから、その入口のものを選んでください。
作るものが思いつきません
最初は自分が毎日困っていることで構いません。規模より、自分で決めた箇所があるかどうかが選考では見られます。チュートリアルをなぞっただけのものは、面接で「自分で決めたところはどこですか」と聞かれて止まります。
まとめ|入口を決める、共通基礎に最低限触る、その先へ進む
- 「何から」の答えは入口で変わります。ロードマップが人によって違うのは、想定している入口が違うからです
- ITの共通基礎には公的な定義があります。IPAの基本情報技術者試験(科目A 90分60問/科目B 100分20問・CBTで随時実施)の範囲が参照先になります。取る必要はありません
- 最初の3か月は、言語1つ・Git・エラーを読む習慣の3つが共通。その先が入口で分かれます
- 間違えやすいのは、数学から始める・教材を並行する・作る前に資格を取ろうとするの3つです
- 続かない理由は教材ではなく詰まり方。「30分で進まなければ聞く」を、始める前に決めてください
本メディアはRaiseTech(PISTEC株式会社)が運営しています。
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「基本情報技術者試験」(2026年10月21日取得)。対象者像および科目A・科目Bの試験時間・出題形式・出題数は同ページの記載によります。入口別の3か月の内容は公的な定義ではなく、求人票の応募要件と各入口の業務内容から本記事で整理したものです。




