「未経験歓迎と書いているのに、応募が来ない」
「求人票に何をどこまで書けばいいのか、根拠が分からないまま埋めている」
この記事は、そんな課題を持って「エンジニア 求人票 書き方」と検索した採用担当者の方のために書きました。
結論から言うと、求人票に書く項目は好みで決めるものではなく、職業安定法施行規則で12項目が定められています。2024年4月からは「変更の範囲」を書く項目が増えました。まずここを埋め、そのうえで未経験歓迎の条件を具体化すると、応募前の辞退とミスマッチが減ります。
この記事では、法令で明示が義務づけられている12項目と、2024年4月に増えた3項目、「未経験歓迎」と書くときの2つの制約、エンジニア求人票で書き落としやすい5か所、そして項目別の書き方の例を解説します。条文はすべてe-Govの現行法令で確認しました(2026年10月13日)。
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求人票に書く項目は、法令で12項目が決まっている
求人票の記載事項は、企業が自由に決めるものではありません。職業安定法第5条の3が「従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定め、その具体的な中身を職業安定法施行規則第4条の2第3項が列挙しています。
条文にある項目をそのまま並べると、次の12項目です。

| # | 明示が要る事項 | 条文(施行規則第4条の2第3項) | エンジニア求人票での書き方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 従事すべき業務の内容(変更の範囲を含む) | 第1号 | 「Webアプリケーションの開発」だけでは足りない。使う言語・担当する工程・将来の配置転換の範囲まで |
| 2 | 労働契約の期間 | 第2号 | 期間の定めなし/あり(開始日と終了日) |
| 3 | 試みの使用期間(試用期間) | 第2号の2 | 有無と長さ。期間中の条件が違うなら、その条件も別に示す(同条第6項) |
| 4 | 有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間・更新回数の上限を含む) | 第2号の3 | 有期の求人だけ。上限を定めているならその上限も |
| 5 | 就業の場所(変更の範囲を含む) | 第3号 | 本社/客先常駐/リモートの別。異動や常駐先の変更がありうるなら、その範囲 |
| 6 | 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日 | 第4号 | フレックスや裁量労働制なら、その旨とコアタイム |
| 7 | 賃金の額(臨時の賃金・賞与などを除く) | 第5号 | 固定残業代を含むなら、その金額と対応する時間数を分けて書く |
| 8 | 健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用 | 第6号 | 加入する保険を列挙 |
| 9 | 労働者を雇用しようとする者の氏名または名称 | 第7号 | 自社名。採用代行を使う場合も雇用主を明示 |
| 10 | 派遣労働者として雇用する場合は、その旨 | 第8号 | 派遣として雇うときだけ。SESは派遣か準委任かで扱いが変わる |
| 11 | 就業場所における受動喫煙を防止するための措置 | 第9号 | 屋内禁煙/喫煙専用室あり、など |
| 12 | (明示の方法)書面の交付。本人が希望すればFAXまたは電子メール等 | 同条第4項 | メールの場合は出力して書面を作成できる形式であること |
12番目は項目ではなく方法ですが、条文が方法まで定めているため同じ表に入れました。求人サイトの入力欄を埋めただけでは、この12項目が揃っているとは限りません。媒体のフォーマットは媒体ごとに違うためです。
なお、明示した内容の記録は、募集が終了する日まで(契約を結ぶ場合は締結日まで)保存する義務があります(同条第7項)。求人票を差し替えたときは、差し替え前の版も残してください。
POINT
書く項目は法令で決まっている。媒体の入力欄を埋めただけでは足りないことがある。
2024年4月から増えた3項目
施行規則の改正で、2024年4月1日から明示事項が3つ増えました。いずれも「どこまで広がりうるか」を書かせる項目です。

| 増えた項目 | 書く内容 | エンジニア求人で起きやすいこと |
|---|---|---|
| 業務内容の変更の範囲 | 入社後に任せる可能性のある業務の範囲 | 「開発」で採用したのに運用・保守に回る、というミスマッチの原因。範囲を書けば、入る前に合意できる |
| 就業場所の変更の範囲 | 転勤・異動・客先常駐の可能性と、その範囲 | 客先常駐がありうるなら、ここで書く。入社後に伝えると、早期離職につながりやすい |
| 有期契約の更新上限 | 通算契約期間や更新回数の上限を定めている場合はその上限 | 有期で採る場合のみ。定めていないなら「上限なし」と書く |
「変更の範囲」は、広く書けば書くほど安全というものではありません。範囲を広く取れば法令上の明示は満たしますが、候補者から見ると「何をやらされるか分からない求人」になります。実際に異動の可能性がある範囲だけを書くほうが、応募の質は上がります。
エンジニア職で具体的に書くなら、次のような形です。
- 業務内容の変更の範囲:「入社後3年程度はバックエンド開発(Java/Spring Boot)。その後、本人の希望と適性に応じてインフラ(AWS)またはプロジェクト管理に変わる可能性があります」
- 就業場所の変更の範囲:「本社(東京都◯◯区)。プロジェクトにより都内の顧客先での勤務が発生する場合があります。転居を伴う異動はありません」
「未経験歓迎」と書くときの2つの制約
未経験歓迎の求人には、法令上の制約が2つあります。どちらも違反すると行政指導や罰則の対象になります。

制約1|年齢で絞れるのは、例外にあたるときだけ
労働施策総合推進法第9条により、募集・採用では年齢にかかわりない均等な機会を与えることが原則です。年齢で絞れるのは、同法施行規則第1条の3第1項が定める例外にあたるときだけです。
| 例外 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 定年を下回ることを条件とする | 第1号 | 定年を定めている場合。期間の定めのない労働契約に限る |
| 法令で就業が禁止・制限されている業務 | 第2号 | 深夜業など |
| 長期勤続によるキャリア形成 | 第3号イ | 未経験採用で使うのはこれ。期間の定めのない労働契約で、職業経験を求人条件としないこと。新卒またはそれと同等の処遇で募集する場合に限る |
| 技能・知識の継承、芸術・芸能、高年齢者の雇用促進 | 第3号ロ〜ニ | 特定の条件下でのみ |
第3号イは、未経験採用の求人票でそのまま使える例外です。ただし条件が3つ付きます。①期間の定めのない労働契約であること ②職業に従事した経験を求人の条件としないこと ③新卒者、またはそれと同等の処遇で募集することです。
「第二新卒歓迎・30歳まで」のような書き方は、この3条件を満たしていないと例外にあたりません。とくに「実務経験1年以上」と「35歳まで」を同時に書くと、②を満たさないため成立しません。
同条第2項は、年齢で絞らない代わりに「職務の内容、必要とされる適性・能力・経験・技能の程度その他の応募にあたり求められる事項を、できる限り明示する」よう求めています。年齢の代わりに書くべきなのは、求める水準です。
制約2|虚偽の条件には罰則がある
職業安定法第65条第9号は、「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して…労働者の募集…を行つたとき」に6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金と定めています。
エンジニア求人で問題になりやすいのは、次のような書き方です。
- 自社開発の実績がほとんどないのに「自社開発」とだけ書く
- 実際は運用・監視が中心なのに「開発エンジニア」として募集する
- 固定残業代を含む額を、基本給のように見せる
- 配属先が未定なのに、特定のプロジェクトを確定しているかのように書く
「書かない」ことと「違うことを書く」ことは別です。決まっていないなら「配属は選考過程で決定します」と書けば足ります。
エンジニア求人票で書き落としやすい5か所
12項目のうち、エンジニア職の求人で抜けやすいのは次の5つです。

| # | 抜けやすい箇所 | 起きること | 書き方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 客先常駐の有無(就業場所の変更の範囲) | 入社後に判明して早期離職につながる | 「プロジェクトにより顧客先での勤務があります(範囲:都内)」と範囲つきで |
| 2 | 試用期間中の条件 | 試用期間中だけ賃金や手当が違うのに書いていない | 施行規則第4条の2第6項は、期間中と期間後で条件が異なる場合はそれぞれを示すと定めている |
| 3 | 固定残業代 | 月給に含まれていることが伝わらず、入社後に不信を招く | 「月給28万円(固定残業代4万円/月20時間分を含む。超過分は別途支給)」のように金額と時間数を分ける |
| 4 | 業務内容の変更の範囲 | 2024年4月の改正項目。媒体の旧フォーマットには欄がないことがある | 媒体に欄がなければ、業務内容の本文の末尾に書く |
| 5 | 受動喫煙を防止するための措置 | 条文に明記されているが抜けやすい | 「屋内禁煙」「喫煙専用室あり」など一言で足りる |
1と4は、どちらも「入社後に広がりうる範囲」です。この2つを曖昧にしたまま採用すると、入社後3か月〜1年で認識のずれが表面化します。早期離職の防ぎ方は未経験エンジニアの採用でも扱っています。
未経験歓迎で応募が集まる書き方
法令の12項目を満たしたうえで、応募の質を上げるために具体化したいのは4か所です。いずれも「候補者が自分に当てはまるか判断できるか」が基準になります。

① 求める水準を、年齢ではなく到達点で書く
年齢で絞れない以上、代わりに書くのは到達している水準です。
| 避けたい書き方 | 具体化した書き方 |
|---|---|
| 未経験歓迎!やる気があればOK | HTML/CSSとJavaScriptの基礎を学び終え、自分で作ったものをGitHubで公開している方 |
| ポテンシャル採用 | 基本情報技術者試験の合格、または同等の知識を学習で示せる方 |
| 第二新卒歓迎・30歳まで | 職業経験は問いません(長期勤続によるキャリア形成を図るため、新卒者と同等の処遇で募集します) |
3行目は、年齢制限の例外(施行規則第1条の3第1項第3号イ)を使う場合の書き方です。例外を使うときは、その理由を求人票に示すことが求められます。
② 入社後3か月・6か月・12か月に何をするかを書く
未経験の候補者がいちばん不安に思うのは、入社後に何をするかです。研修の有無だけでなく、期間と内容を区切って書いてください。
- 〜3か月:社内研修(Java・SQL・Git)。既存システムの改修を先輩のレビューつきで担当
- 〜6か月:小規模な機能追加を1人で担当。設計レビューに参加
- 〜12か月:1つの機能の設計から実装・テストまでを担当
この区切りは、育成計画そのものです。社内で決まっていない場合は、先に決めてから書くことになります。考え方は未経験エンジニアの育成計画で解説しています。
③ 使う技術を、バージョンまで含めて書く
「Java」だけでは、候補者は自分の学習範囲と照合できません。フレームワーク、データベース、インフラ、バージョン管理まで書くと、照合できる候補者だけが応募します。
- 言語・フレームワーク:Java 17/Spring Boot 3系
- データベース:PostgreSQL
- インフラ:AWS(EC2・RDS・S3)
- その他:Git / GitHub、GitHub Actions によるCI
応募数は減りますが、書類選考で落とす手間が減ります。求人媒体と人材紹介のどちらを使うかで、この粒度の効き方も変わります。手法ごとの違いはエンジニアの求人媒体比較にまとめています。
④ 何をもって評価するかを書く
未経験採用では、入社後の評価基準が見えないことが辞退の理由になります。「成果」ではなく、1年目に何を見るかを書いてください。
- 1年目は「詰まったときに、どこまで自分で切り分けてから聞けるか」を見ます
- コードレビューの指摘への対応と、同じ指摘を繰り返さないことを評価します
候補者の自走力をどう見るかは、未経験エンジニアの見極め方で詳しく扱っています。求人票に書く評価基準は、そこで使う判断材料と揃えておくと選考がぶれません。
公開前のチェックリスト10項目
求人票を出す前に、次の10項目を確認してください。1〜7は法令の明示事項、8〜10は応募の質に効く項目です。
| # | 確認する内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 業務内容に変更の範囲を書いたか | 施行規則第4条の2第3項第1号 |
| 2 | 就業場所に変更の範囲を書いたか(客先常駐を含む) | 同第3号 |
| 3 | 試用期間の有無と長さ。期間中の条件が違うならその条件も | 同第2号の2・同条第6項 |
| 4 | 有期なら更新の基準と上限 | 同第2号の3 |
| 5 | 賃金に固定残業代を含むなら、金額と時間数を分けたか | 同第5号 |
| 6 | 社会保険の適用、雇用主名、受動喫煙の措置 | 同第6号・第7号・第9号 |
| 7 | 年齢で絞っているなら、例外にあたるかと、その理由を書いたか | 労働施策総合推進法施行規則第1条の3 |
| 8 | 求める水準を到達点で書いたか(「やる気」で済ませていないか) | — |
| 9 | 入社後3か月・6か月・12か月の内容を書いたか | — |
| 10 | 使う技術をフレームワーク・DB・インフラまで書いたか | — |
7について補足します。年齢を書かないこと自体は義務ではなく、「年齢にかかわりない均等な機会を与えること」が原則です。例外にあたる場合は年齢を書けますが、その場合は理由の明示が求められます。
未経験エンジニアの採用をお考えなら
求人票を整えても、未経験の候補者を見極める材料は履歴書と数十分の面接だけでは足りません。学習の過程が見えないまま、人柄と意欲で判断せざるを得ないのが実情です。
RaiseTech Talentは、未経験エンジニアに特化した人材紹介サービスです。RaiseTech(レイズテック)で実務を想定したカリキュラムを学んだ受講生の中から、企業の採用要件に合う人材をご紹介します。
- 学習過程・制作物・人柄の3つを採用判断の材料としてご確認いただけます
- 初期費用0円・完全成功報酬型。採用が決定するまで費用は発生しません
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- 選考は貴社のフローのまま。全国の企業さまにご利用いただけます
採用した企業の事例
クラウドインテグレーションを手がけるKDDIアイレット株式会社様(旧アイレット株式会社)では、業界経験者の採用が難しく、未経験採用を始めたものの内製カリキュラムが業界の変化に追随できないという課題がありました。
RaiseTechの受講生を複数名採用した決め手は、「高難度のカリキュラムをやり抜いた自走力・学習力」と、学習背景が可視化されていて採用判断がしやすかったことです。採用した人材は半年でグループリーダーに昇進し、教育コストも大きく下がったとのことでした。
紹介できるのは、AIエンジニア育成コース(旧Javaコース)とAWSコースの受講生です。Java・Spring Bootによるバックエンド、React・TypeScriptによるフロントエンド、AWSでのインフラ構築、CI/CDやテストまでを、課題に取り組みながら学んでいます。
まとめ|求人票は「書きたいこと」ではなく「明示が要ること」から埋める
この記事のポイントを3つにまとめます。
- 求人票の記載事項は職業安定法施行規則で12項目が決まっている。媒体の入力欄を埋めただけでは、揃っているとは限りません
- 2024年4月から「変更の範囲」を書く項目が増えた。業務内容と就業場所の2つで、どちらも未経験採用のミスマッチが起きやすい箇所です
- 年齢で絞れるのは例外にあたるときだけ。未経験採用で使えるのは「長期勤続によるキャリア形成」ですが、期間の定めのない契約・職業経験を条件にしない・新卒と同等の処遇、の3条件が付きます
12項目を埋めたあとに効くのは、求める水準を到達点で書くこと、入社後3か月・6か月・12か月の内容を書くこと、使う技術をバージョンまで書くこと、評価の基準を書くことの4つです。選考で見る判断材料と揃えておくと、求人票から面接までがぶれません。考え方は未経験エンジニアの見極め方にまとめています。
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