「未経験からエンジニアになったけど後悔している」
この言葉は検索するとよく出てきます。ただ「後悔」とひとことで言っても、中身はまったく別のものが混ざっています。
この記事では、後悔を取り消せるものと取り消せないものに分けます。先に結論を書くと、よく語られる後悔のほとんどは取り消せる側です。
そして取り消せるかどうかは、気の持ちようではなく職場を変えられるかどうかで決まります。厚生労働省の調査では、過去10年、毎年13.9〜16.7%の人が職場を変えています。どの年も7人に1人前後です。
以下、後悔の中身を分解し、入る前に防げるもの・入ってからしか分からないもの・いま後悔している人が最初に確かめることを順に書きます。
「後悔した」の中身は、だいたい5つに分かれる
まず分解します。検索で出てくる「後悔」は、次のどれかであることがほとんどです。

| 後悔の中身 | よくある言い方 | 取り消せるか |
|---|---|---|
| 配属された場所が合わない | 「ずっと同じ作業しかさせてもらえない」 | 取り消せる |
| 仕事の中身が想像と違った | 「作ると思っていたら直してばかり」 | 取り消せる |
| 聞ける人がいない | 「1人で詰まったまま誰にも聞けない」 | 取り消せる |
| 収入が前職より下がった | 「生活が苦しくなった」 | 条件つきで取り消せる |
| 学習と転職活動に使った時間 | 「あの1年を返してほしい」 | 取り消せない |
上の3つは、すべて「いまいる場所」の話です。職種そのものへの後悔ではありません。場所を変えれば消えます。
4つ目は、下がり方と期間によります。5つ目だけが、本当に取り消せません。
取り消せる後悔と、取り消せない後悔
この区別がなぜ大事かというと、打ち手がまったく違うからです。
| 取り消せる後悔 | 取り消せない後悔 | |
|---|---|---|
| 正体 | いまいる会社・現場との不一致 | すでに使った時間 |
| 打ち手 | 場所を変える。社内の異動か、2社目へ | 無い。取り返そうとすると判断がゆがむ |
| やってはいけないこと | 「自分に向いていない」と結論を出すこと。場所の問題を適性の問題にすり替えている | 元を取ろうとして、合わない場所に留まること |
いちばん多い間違いは、取り消せる後悔を取り消せないものとして扱うことです。「せっかく転職したのだから」と我慢を続けると、取り消せない側(時間)だけが増えていきます。
データで見る「やり直しのきく度合い」
「場所を変えればいい」と言われても、実際にそれができるのかが問題です。ここは数字で確かめられます。
厚生労働省の雇用動向調査は、1年間にどれだけの人が職場に入り、どれだけ辞めたかを毎年調べています。

| 年 | 入職率 | 離職率 |
|---|---|---|
| 2016年 | 15.9% | 15.0% |
| 2017年 | 16.0% | 14.9% |
| 2018年 | 15.4% | 14.6% |
| 2019年 | 16.7%(10年で最高) | 15.6% |
| 2020年 | 13.9%(10年で最低) | 14.2% |
| 2021年 | 14.0% | 13.9% |
| 2022年 | 15.2% | 15.0% |
| 2023年 | 16.4% | 15.4% |
| 2024年 | 14.8% | 14.2% |
| 2025年 | 14.7% | 13.7% |
10年を通して、入職率は13.9%から16.7%の幅に収まっています。いちばん動きが止まった2020年でも13.9%です。
割合で言うと、どの年も7人に1人前後が職場を変えていることになります。景気が落ち込んだ年でもこの水準です。
「一度入ったら抜けられない」という前提が、そもそも事実と違います。場所を変えることは、特別なことではありません。
ただし注意点があります。これは全産業・全年代の数字で、IT業界に限ったものでも、未経験1年目に限ったものでもありません。自分がすぐ動けることの保証ではなく、「動く人が常に一定数いる」という事実の確認として読んでください。
入る前に防げる後悔
取り消せる後悔のうち、そもそも起きなくできるものがあります。どれも入る前に読める情報です。

| 防げる後悔 | 入る前にどこで分かるか |
|---|---|
| 配属された場所が合わない | 求人票の「就業の場所(変更の範囲を含む)」と「派遣労働者として雇用する旨」。契約の型で誰が配属を決めるかが変わります。SESの案件ガチャは本当?で条文から整理しました |
| 仕事の中身が想像と違った | 求人票の「業務内容(変更の範囲を含む)」。「IT業務全般」のように広ければ、その広さがそのまま配属の幅です。最初に任される仕事の実際は未経験エンジニアの現実に書きました |
| 聞ける人がいない | 面談で聞くしかありません。「コードレビューは誰が、どのくらいの頻度でやっていますか」「エンジニアは何人いますか」。1人目になる環境かどうかは、ここで分かります |
| そもそも職種が合わない | 入口の選び方。職種ごとの違いは未経験から入りやすいIT職種の選び方、全体の手順は未経験からエンジニアに転職する完全ガイドにまとめています |
3行目が抜けやすいところです。求人票には書かれないので、聞かないと分かりません。そして後から効いてくる度合いがいちばん大きいのがここです。
入ってからしか分からない後悔
一方で、どれだけ下調べしても入るまで分からないものがあります。これは防ぐのではなく、起きたときの扱い方を決めておきます。
- チームの空気。質問しやすいかどうかは、制度ではなく人で決まります
- 直属の上司との相性。面接に出てこない人が上司になることもあります
- 会社の状況の変化。入社後に組織が変わる、担当案件が終わる
これらに共通するのは、自分の選び方が悪かったわけではないことです。防げなかったものを「自分の判断ミス」として数えると、取り消せない後悔の量が実際より多く見えます。
30代以降で始めた場合に何が変わるかは30代・未経験からのIT転職で、年代別のデータから整理しています。
いま後悔しているなら、最初に確かめること
順番があります。辞めるかどうかを決めるのは最後です。
- 後悔しているのは「職種」か「いまの場所」か。仕事の中身そのものが嫌なのか、この現場が嫌なのかを分ける。ここを混ぜたまま辞めると、次でも同じことが起きます
- 変えられる範囲を確かめる。社内の異動や担当変更で済む場合があります。言ってみるまで分からないことが多いです
- いまの経験が何年分になるか数える。1年に満たない場合と、1年を超えた場合で、次の選択肢の数が変わります
- それから、動くかどうかを決める。1〜3を飛ばして辞めると、取り消せない側だけが増えます
1番がいちばん大事です。「エンジニアに向いていなかった」という結論は、たいてい1つの職場しか見ていない段階で出されています。
「やめとけ」と言われる理由そのものの検証はAIエンジニアはやめとけと言われる理由、スクールを使うかどうかで迷っている場合は未経験向けプログラミングスクール比較11選にまとめています。
未経験からITに入るなら、いまはAI側から
取り消せる後悔のほとんどは、入口の選び方で小さくできます。同じ時間を使うなら、伸びている側から入るほうが、あとで選べる範囲が広く残ります。
開発系の中でも、AIを使った開発は求人が増えている領域です。しかも未経験から入る人にとって不利が小さいという特徴があります。全員にとって新しい技術なので、経験年数の差が他の領域ほど効かないためです。
→ 職業としての全体像はAIエンジニアとは?完全ガイド、将来性はAIエンジニアの将来性にデータでまとめています。
RaiseTech(レイズテック)のAIエンジニア育成コースは、未経験からその入口を目指すためのオンラインスクールです。
- 未経験からAIエンジニアを目指せます(転職支援つき)
- 受講料は798,000円(税込)、学割は598,000円。入学金はなく、受講料のみです。専門実践教育訓練の指定講座で、条件を満たせば最大80%・年間上限64万円が給付されます
- 累計2,500名超の受講生。現役エンジニアが講師です
- 現在は、RaiseTech(運営:PISTEC株式会社、有料職業紹介事業者・許可番号 27-ユ-305240、2026年5月1日許可)が企業と直接、人材紹介契約を結んでいる求人をご紹介しています。正社員として紹介先企業に直接雇用される形で、派遣会社やSES企業を間に挟みません。修了生の転職先の一例がKDDIアイレット株式会社(クラウド総合支援「cloudpack」を提供。旧アイレット株式会社)で、未経験からの入社後にグループリーダーを務めている例が、第三者メディアの取材記事で紹介されています
指定番号 2712025-2620011-5、指定期間 2026年10月1日〜2029年9月30日。給付金の支給には条件があり、受講開始前にハローワークでの手続きが必要です。年齢などの要件には例外もあり、問題ないケースもあります。詳しくは各スクールの給付金担当者にお問い合わせください。
紹介先の一例として挙げたKDDIアイレット株式会社は、2026年4月にKDDI Digital Divergence Holdings株式会社と合併し、アイレット株式会社から社名変更しています(同社公式の会社概要・沿革で2026年10月16日確認)。取材記事は旧社名の時点のものです。取材記事はコエテコキャンパス(2024年5月15日公開/2025年5月26日更新)で、同記事には受講生の発言として「転職の斡旋はしていない」という当時の説明が含まれます。RaiseTech は2026年5月1日に有料職業紹介事業の許可(27-ユ-305240)を取得し、現在は企業と直接結んだ人材紹介契約にもとづいて紹介しています(運営者確認・2026年10月17日)。同じ方のインタビューは江崎さんのインタビューにもあります。
未経験からエンジニアになった受講生の実績
「本当に未経験からなれるのか」は、実際になった人を見るのが一番早いです。いずれもAWS・Javaコースの卒業生ですが、「未経験から学び、作ったものを見せ、転職する」という道筋は職種が変わっても同じです。
事例①:完全未経験から半年でWebエンジニアへ|年収250万円→600万円
プログラミング完全未経験からJavaコースを受講し、受講開始から半年でWebエンジニアとして転職。フルリモート・残業ゼロの働き方になりました。特別な才能があったわけではなく、講義に毎週出席し、分からないことをその週のうちに質問で解消する、という当たり前のことを止めずに続けた結果です。
事例②:30代後半・未経験からクラウドインフラエンジニアへ
30代後半、AWS未経験からAWSコースを受講。キャリアチェンジ後の最初の職場で年収600万円に到達し、フルリモートで働いています。前職までの社会人経験は、エンジニアになってからもプロジェクトの進め方や顧客とのやり取りで強みになります。
事例③:SESから年収800万円へ
本業に副業を足して年収800万円に到達した事例です。入ったあとの伸び方の一例として参考になります。
→ スクールを使うかどうかで迷っている場合は、未経験向けプログラミングスクール比較11選で11社を受講料・給付金・対象職種で比べています。
よくある質問
1年経たずに辞めるのは不利になりますか
次の選考で理由を聞かれるのは確かです。ただし「短期間で辞めた事実」より「なぜ辞めたかを説明できるか」で見られます。本記事の①(職種か、いまの場所か)を分けて言語化できていれば、説明は成立します。
後悔している人の割合はどれくらいですか
その統計はありません。「未経験からエンジニアになった人のうち何%が後悔しているか」を調べた公的な調査は存在しません。数字が出ている記事は、媒体のアンケートか個人の体感です。母集団が違うので、そのまま自分に当てはめないでください。
収入が下がった後悔は、取り消せますか
下がり方と期間によります。本記事では「条件つきで取り消せる」としました。下がった事実は戻せませんが、2社目以降で変えられる余地はあります。転職で賃金がどう動くかは未経験エンジニアの現実で、厚生労働省の調査から整理しています。
「向いていない」と思ったら、どう確かめればいいですか
いくつの職場を見たかを数えてください。1つなら、それは職場の話であって適性の話ではありません。職種の中でも開発・インフラ・運用で日々の仕事はかなり違うので、未経験から入りやすいIT職種の選び方で別の入口も見てから判断してください。
周りに相談できる人がいません
これ自体が、本記事でいう取り消せる後悔(聞ける人がいない)にあたります。いまの職場の外に相談先を作るのが先で、辞めるかどうかの判断はその後です。
まとめ|後悔の多くは、場所の話であって職種の話ではない
- 「後悔した」の中身は5つに分かれ、そのうち3つは「いまいる場所」の話です。場所を変えれば消えます
- 本当に取り消せないのは、使った時間だけ。元を取ろうとして合わない場所に留まると、取り消せない側だけが増えます
- 過去10年、入職率は13.9〜16.7%の幅で推移しています。どの年も7人に1人前後が職場を変えており、「一度入ったら抜けられない」は事実と違います
- 配属先・仕事の中身は求人票の「変更の範囲」で、聞ける人がいるかは面談で、入る前に確かめられます
- いま後悔しているなら、「職種か、いまの場所か」を先に分ける。辞めるかどうかを決めるのは最後です
本メディアはRaiseTech(PISTEC株式会社)が運営しています。
出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」図1-1(2026年10月26日取得)。常用労働者5人以上の事業所が対象で、全産業・全年代の数字です。IT業界に限ったものでも、未経験者に限ったものでもありません。入職率・離職率は、1月1日現在の常用労働者数に対する1年間の入職者数・離職者数の割合です。
後悔の5分類と「取り消せるか」の判定は、公的な定義ではなく本記事での整理です。「未経験からエンジニアになった人のうち何%が後悔しているか」を調べた公的な統計は存在しません。




