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エンジニア採用コストの削減|下げる順番と、削ると跳ね返るもの

本メディアはRaiseTech(PISTEC株式会社)が運営しています。

「採用予算を圧縮しろと言われたが、どこから削ればいいのか分からない」
「単価を下げたら、結局その分だけ時間がかかった」

この記事は、そんな課題を持って「採用コスト 削減」と検索した採用の予算を預かる方のために書きました。

結論から言うと、削る順番は決まっています。単価を叩くのは最後です。先に歩留まりを直さないと、1人あたりの単価が下がっても母数が増えるぶん総額は変わりません。

そして前提として、情報通信業の人手不足感はいま +52 ポイント(令和8年8月)。調査産業計の +47 より高い水準です。売り手市場の側で単価だけを下げに行くと、採れないまま時間が過ぎます。

この記事では、市場の状態、削る順番、削減の判断表、いちばん効くところ、やってはいけない削り方の順に解説します。

RaiseTech(レイズテック)は、受講者数2,500名超え!現役エンジニアが講師を務めるAIエンジニア育成のオンラインスクールです。未経験人材の育成と、企業さまへの紹介の両方を手がけてきた立場からお伝えします。

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目次

先に市場の状態を見る|情報通信業は +52

削減の計画を立てる前に、相手側の条件を確認してください。

正社員等労働者過不足判断D.I.は情報通信業+52、調査産業計+47

産業(正社員等労働者過不足判断D.I.・令和8年8月1日現在) 不足 過剰 D.I.
運輸業,郵便業 62% 1% +61
建設業 59% 0% +59
学術研究,専門・技術サービス業 62% 3% +59
医療,福祉 60% 5% +55
情報通信業 54% 2% +52
サービス業(他に分類されないもの) 52% 1% +51
調査産業計 50% 3% +47
製造業 49% 4% +45
卸売業,小売業 31% 5% +26

D.I.は「不足」と答えた事業所の割合から「過剰」と答えた割合を引いた値です。プラスが大きいほど人手不足感が強いことを意味します。

情報通信業は +52。調査産業計の +47 を5ポイント上回っています。相手が余っている市場ではありません。

ただし、向きは下です。

情報通信業・正社員等 2月調査 5月調査 8月調査
D.I. +62 +54 +52
(参考)調査産業計 +49 +47 +47

2月の +62 から半年で10ポイント下がっています。調査産業計が +49 → +47 とほぼ横ばいなので、この下げは情報通信業に固有の動きです。

読み方は2つです。水準はまだ高いので、単価を一方的に叩ける市場ではない。一方で向きは緩んでいるので、去年と同じ前提で予算を積む必要もない。この両方を押さえたうえで、削る順番に入ります。

採れない原因そのものを先に特定したい場合はエンジニアが採用できない理由をご覧ください。

削る順番は決まっている

単価から手をつけると失敗します。順番は次のとおりです。

採用コスト削減の順番。歩留まり→要件→チャネル→自社工数→単価

順 見るところ なぜこの順番か
① 歩留まり(応募→書類→面接→内定→入社の通過率) ここが直ると、同じ母数で採用数が増える。1人あたりの単価が自動的に下がる
② 要件(必須と歓迎の切り分け) 要件が厳しいほど母数が減り、単価が上がる。必須を1つ減らすだけで景色が変わることがある
③ チャネル(どこで募集するか) ①②を直さずにチャネルだけ変えても、同じ歩留まりで母数が変わるだけ
④ 自社工数(選考にかかる人の時間) 金額に出ないので見落とされる。面接回数と参加人数で決まる
⑤ 単価(媒体費・手数料の交渉) いちばん最後。①〜④を直さずに下げると、採れない状態が長引く

①が最優先なのは、総額の式がこうなっているからです。

採用総額 = 1人あたり単価 × 採用人数 + 固定費

単価を10%下げても、歩留まりが悪くて母数を1.5倍にすれば総額は増えます。先に分母を小さくするほうが効きます。

数字を入れて確かめます。以下はすべて仮の数字で、実際の相場ではありません。自社の値に置き換えてください。

  いまの状態 A 単価を10%下げる B 内定承諾率を上げる
1人あたり単価 100 90 100
内定承諾率 50% 50% 75%
3人採るのに必要な内定数 6 6 4
かかった費用(内定数 × 単価) 600 540 400
いまとの差 — −10% −33%

単価を10%下げるより、承諾率を50%から75%に上げるほうが3倍以上効きます。しかも単価の交渉は相手がいますが、承諾率は自社だけで動かせます。

実際には辞退された分の自社工数と期間も失われるので、差はこの表よりさらに開きます。削減の話を「いくら値引きできるか」から始めないでください。

なお、ここで「3人採るのに必要な内定数」が減るのは、同じ母数から採れる人数が増えるからです。母集団を増やす施策(チャネル追加・広告費)とは向きが逆で、費用を足さずに採用数を増やせる唯一の場所がここにあたります。

内訳そのものの出し方はエンジニア採用コストの相場の見積もりシートに、手法ごとの違いはエンジニアの採用手法を比較にまとめています。

削減の判断表

「削ってよいもの」と「削ると別のところに移るだけのもの」を分けてあります。そのまま使えます。

削減施策ごとに、何が下がるか・どこへ跳ね返るか・やってよい条件を整理した判断表

施策 何が下がるか どこへ跳ね返るか やってよい条件
面接回数を減らす 自社工数・選考期間 跳ね返らない(見極めの設計が先にあれば) 各回で何を見るかが文章で決まっていること
必須要件を1つ減らす 単価(母数が増えるため) 育成コストに一部移る 減らした要件を入社後に埋める計画があること
媒体を1つに絞る 固定費 母数。絞った媒体の歩留まりが悪いと再募集になる 媒体別の歩留まりを3か月以上記録していること
手数料を交渉する 単価 紹介の優先度。後回しにされると期間が延びる 自社の採用数が相手にとって十分に大きいこと
経験者から未経験に切り替える 単価は下がる 育成コストに大きく移る 受け入れ側に指導の工数があること
求人票を書き直す (費用は変わらない) 跳ね返らない。応募の質が変わる いつでもやってよい
採用を止める すべて 既存メンバーの残業と離職 止める期間と再開の条件を先に決めること

いちばん上と、いちばん下だけ覚えてください。面接回数の削減は跳ね返りがほぼ無い一方、採用を止めるのは費用が人件費と離職に移るだけです。

未経験への切り替えで移る先の金額は未経験採用の育成コストで、研修費・指導工数・立ち上がり期間に分けて出せます。切り替えの判断は、この2つを足した総額で見てください。

いちばん効くのは単価ではなく歩留まり

①を具体的にします。見るのは4つの通過率だけです。

区間 落ちているときに疑うところ
応募 → 書類通過 要件が実態より厳しい。または求人票の書き方が応募者層とずれている
書類通過 → 一次面接 連絡までの日数。ここが長いと他社に決まる
一次 → 最終 各回で見るものが決まっていない。同じことを2回聞いている
内定 → 入社 ここが最も高くつく。かかった費用が全部無駄になり、再募集でもう一度かかる

4つ目の改善がいちばん効きます。内定辞退は、それまでに使った費用と工数を全部失ったうえで、もう一度同じ額を使うことになるためです。

見極めの設計は未経験エンジニアの見極め方とエンジニアのポテンシャル採用とはに、入社後の立ち上がりは未経験エンジニアの育成計画にまとめています。

やってはいけない削り方

3つだけ挙げます。どれも「削った」のではなく「移した」だけになります。

やってはいけないこと 何が起きるか
歩留まりを直さずに単価だけ下げる 母数が足りず、期間が延びる。延びたぶん固定費と自社工数が増える
自社工数を数えないまま「内製化すれば安い」と決める 金額に出ないだけで、現場の時間は確実に減っている
未経験に切り替えて、育成の工数を現場の善意で吸収させる 指導が後回しになり、立ち上がりが延びる。結果として総額は下がらない

共通しているのは「見えている費用だけを見ている」ことです。自社工数と育成工数は請求書が来ないので、削減の計算から落ちます。落ちた分は消えるのではなく、どこかに移っています。

移った先を見つける方法は1つです。削減の前と後で、同じ3つを並べて記録してください。

  • 採用1人あたりの総額(固定費+成果報酬+自社工数。自社工数は時間単価 × 時間で金額に直す)
  • 募集開始から入社までの日数(期間が延びれば、そのぶん固定費と工数が積み上がる)
  • 入社後6か月の在籍率(早期離職が出た時点で、かかった費用は全部やり直しになる)

削減施策を打った月から、この3つを同じ定義で並べます。1つ目だけが下がって2つ目と3つ目が悪化していたら、それは削減ではなく移動です。とくに3つ目は半年遅れて出てくるので、施策の評価を3か月で打ち切らないでください。

よくある質問

エンジニア採用コストはどれくらい削減できますか

削減率を一般化した公的なデータはありません。自社の歩留まり・要件・チャネルの組み合わせで変わるためです。最初に出すべきなのは削減率ではなく、いまの1人あたり単価と、4つの区間の通過率です。この2つが無いと、何を削ったかも測れません。

いま単価を下げる交渉をするのは得策ですか

水準としては売り手市場が続いています。情報通信業の正社員等労働者過不足判断D.I.は令和8年8月で +52 と、調査産業計の +47 を上回ります。一方で2月の +62 から10ポイント下がっており、去年と同じ前提ではありません。交渉するなら、順番としては歩留まり・要件・チャネル・自社工数を直したあとです。

未経験採用に切り替えればコストは下がりますか

採用の単価は下がりますが、育成コストに移ります。移る先は研修費・指導工数・立ち上がり期間の3つで、最大項目は指導工数です。切り替えの判断は、採用コストと育成コストを足した総額で見てください。受け入れ側に指導の工数が確保できていないなら、総額は下がりません。

自社工数はどう数えればよいですか

面接回数 × 参加人数 × 1回の時間 × 時間単価で出ます。書類選考と日程調整の時間も足してください。時間単価は、年収ベースの人件費を年間所定労働時間で割り、法定福利費を含めて計算します。1回の面接に3人が1時間入っていれば、それは3時間分の費用です。

未経験エンジニアの採用をお考えなら

削減の順番でいちばん効くのは歩留まりで、その中でも内定辞退と入社後の早期離職が最も高くつきます。どちらも「入る前に相互に分かっていたか」で変わります。

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まとめ|単価を叩くのは最後

この記事のポイントを3つにまとめます。

  1. 情報通信業の正社員等労働者過不足判断D.I.は +52(令和8年8月)で、調査産業計の +47 より高い。ただし2月の +62 からは10ポイント下がっています。水準は売り手市場、向きは緩み、の両方が同時に成り立っています
  2. 削る順番は 歩留まり → 要件 → チャネル → 自社工数 → 単価。総額は「単価 × 人数 + 固定費」なので、先に分母を小さくするほうが効きます
  3. 削ったものの多くは、消えるのではなく移ります。未経験への切り替えは育成コストへ、採用の停止は既存メンバーの残業と離職へ。判断は移った先を足した総額で
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出典:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8(2026)年8月)の概況」表3(2026年11月5日取得)。労働者過不足判断D.I.は、「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値です。無回答を除いて集計されています。数値はいずれも正社員等労働者のもので、各年8月1日・5月1日・2月1日現在の状況です。

「情報通信業」は日本標準産業分類の大分類で、エンジニア職だけを取り出したものではありません。ソフトウェア業のほか、放送業・出版業なども含まれます。また、この調査は事業所に対する不足感を聞いたもので、採用単価や採用コストを調べたものではありません。本記事の「削る順番」と「削減の判断表」は公的な定義ではなく、本記事での整理です。

この記事を書いた人

RaiseTech運営事務局

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監修

RaiseTech代表 エナミコウジ

エナミコウジ(RaiseTech代表)

  • ▫️ IT業界歴20年以上
  • ▫️ 経営者歴10年
  • ▫️ 現役エンジニア&スクール運営者
  • ▫️ スクール受講生2,500人以上
  • ▫️ 数百億規模の開発案件の初期メンバーとして参画
  • ▫️ 億単位の開発案件にプロジェクトマネージャーとして参画
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